- ナノ -

逆転

※SSL
「……駄目、だ」
「……うーそ、歳さんのここすげえ反応してるし」
「っ、」
「ふは、今ひくりってなった。かーわいい、歳さん」

はい、冒頭から何おっ始めちゃってんのっつう突っ込みは無しで頼みます。いやだってほら別に俺と歳さん、エロい事してるわけじゃあないし。ま、微妙にピンクい雰囲気が漂ってんのは気のせいじゃあ無いけども。何してんのかっつうのは、ほらあれだ。俺の胸に擦り寄ってきた歳さんを離さないようにとしっかり抱き締めたのが今からほんの数分前。好きだよ、と耳元へ囁いたのがその直ぐ後。それに思いの外良い反応を貰えたんで調子に乗っちゃいましたなう、ってな感じですはい。

「……ね、キスして良い?」

未だに肩をひくつかせてる歳さんへと再度囁けば。至近距離が故に聞こえる歳さんの吐息に頭の奥がぐらつくのを感じた。

「……歳さ……っん、」

今の俺の状況を言うと、目を見開いた俺の眼前には歳さんの綺麗に整った顔がある。ちなみにその瞳は閉じられていて表情を伺うことが出来ないのが残念だったり。で、何故そんな状況になってるかってのはね、うん。つまり歳さんはただ照れてるだけじゃあなくて、しっかりと俺から事の主導権を奪い去っていったようで。

「……ん、……ふ、は」

漏れる唾液と吐息に目の前がちかちかと点滅する。咥内を擽る舌に翻弄されつつも歳さんの腰を引き寄せれば。

「ん、」

小さく肩が跳ねたのを見逃さずにそのままソファーへと歳さんの身体を沈める。漸く離れた唇は糸を引いて尚も俺と歳さんを繋いでいた。俺は俺で歳さんからの突然の行動に息が切れているし、歳さんは歳さんでしてやったりとばかりに俺を見上げてる。

「四季、あまり年上を見くびるんじゃねえよ」

ぺろりと口の端を舐めて、艶やかな笑みを浮かべると歳さんは俺の襟首を掴んで唇が再度触れるぎりぎりの位置でそう言った。


逆転


(……歳さん、それ反則でしょ)
(ふ、餓鬼が調子に乗ってるからだ)
(……うー、なんかすげえ悔しい)
(ふ、だったら早く俺を満足させやがれ)
(うん……て、……ちょ、え)
(早く来いよ、四季)
‐End‐
20110511.