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スキンシップ

※SSL
俺の一日は好きな奴の尻を撫でる所から始まる。ぶっちゃけ相手が相手だし撫でたところで柔らかくもなけりゃ、気持ち良くもない。ほらあれじゃん、身体全体が筋肉みてえな奴だから。でもそれをしなきゃ俺は一日が始まったって気もしないし、なにしろスキンシップの一貫としてしているそれを無くしちゃ、いつ相手と触れ合えば良いんだっつう話。

「で、お前は俺にそれを聞かせて何を得たいんだよ四季」

心底げんなりとした様子で茶を啜る左之に、べーつーに、とにやけ顔で返す。うん、我ながらすげえ腹立つ顔してんだろうな今。でもほらそれだけ俺があいつを好きって事でここは納めてよ、って。そう返せば左之に頭を叩かれた。

「左之、入る……うお、」

言うと同時に体育教官室に入ってきた新八に、にやりと口元を吊り上げる俺。そんな俺を見て左之はお手上げだとばかりに肩を竦めて見せたし、新八はと言えば即座に踵を返して教官室を後にしようとしていた。

「永倉センセ、なーんで俺の顔見た途端に逃げちゃう訳?」

新八の背後からがっしりと腕を回して逃げられないように捕まえる。伊達に左之より身長高い訳じゃねえし、高身長さまさまっつう、ね。

「……おい、左之っ こいつどうにかしてくれって」

肩口から覗き込む様に言えば。新八は俺なんかそっちのけで左之へと助けを求める始末。ちなみに左之は、はあ、と大きな溜め息を吐いて新八の肩を叩くと俺へと軽く視線を投げたのを最後に教官室を出て行った。

「ふ、流石だねー。で、どうすんの永倉センセ。左之は出て行っちまったけど」

相変わらず吊り上げた口元はそのままに新八へと問い掛ければ。逃げられないと悟った新八は参ったとばかりに片手を上げ、そしてそれまでの抵抗を止めて力を抜いて見せた。


スキンシップ


(……な、なあ四季、授業は良いのかよ)
(んなの新八を取るに決まってんじゃん)
(……そーかよ)
(ふは、今照れたでしょ)
(う、うるせー)
‐End‐
20110503.