- ナノ -

一人勝ち

そもそも今現在何故この様な状況に追い込まれているのかが分からず四季は人知れず小さく息を吐いた。そんな四季に気付く事無く互いに顔を合わせた直後と全くと言っていい程体勢を変えずに睨み合っている臨也と静雄を見て四季は再度息を吐くのであった。

「しーずーちゃあん、いい加減四季から離れてよ。俺だってそんなに気が長い訳じゃないんだからさ」
「あァ゙、てめえの方こそその手を離しやがれ。四季が何も言わねえのを良い事に調子のってんじゃねえぞ」

先程から四季を挟み繰り広げられる口論に四季は苦笑を浮かべる他無い。事の始まりだった数十分前を悔やむとまではいかないが、左手の腕時計が示す時間に数回瞬きをし肩を竦めるのであった。

「なあ臨也、静雄……悪いんだが」
「四季はちょっと黙ってて」
「わりい、今このノミ蟲をぶっ潰すからよ」

それまで傍観していた口喧嘩に口を挟めば双方とも全くもって聞く耳を持たずに四季の腕を揃って掴む始末。そんな二人に四季が本日何度目か分からない溜息を吐き出した所を不意にそれまで臨也と静雄が掴んでいた四季の腕を引き離しその腕を引いて歩き出す男が現れたのだった。

「ねえ、折原君に平和島君もさあ。今日は彼、僕と先約有りなんだよね」

四季の腕を引いた沖田に四季があとの二人へ肩を竦めて見せれば。口を尖らせ拗ねる臨也と状況が理解出来ずにしきりと瞬きを繰り返す静雄の姿があった。

「今日は総司との約束が有るって言おうとしたんだが二人とも全く聞く気無えからよ」

慰めるかのように臨也と静雄の頭を撫でつつ#名前2#が謝ればそんな四季に沖田は二人に向けて口の端を吊り上げ笑って見せるのだった。

「四季と過ごしたいって言うなら僕を倒してからにしなきゃ。まあ君達に負ける程僕も落ちぶれちゃいないけど、なんてね」


一人勝ち


(沖田君さあ、あまり調子にのらないでよ)
(へえ、折原君ってばすっごく使い古された捨て台詞を吐くんだね)
(……なあ四季、明日はその、空いてるか)
(ん、別に構わねえけど)
(とか言ってるうちに平和島君に抜け駆けされてるけど、良いの)
(あー、シズちゃんずっるいー)
(……はあ、)
‐END‐
20000打記念に行ったフリリク企画でコイズミ様からリクエスト頂きました。ご本人様のみお持ち帰り可です。この度は企画へのご参加、有り難うございました!
20110428.