- ナノ -

にちじょう

なあ、一。俺はお前に出逢えて良かったよ。生真面目に隊務をこなす組長のお前も。一心不乱に土方さんの為に奔走する姿だとか。人に甘えることもしないで己の任務を全うする性格も。そんな中に時折ふと柔らかくなる表情も。一を構成する全部が全部、俺は愛しくて仕方ない。こんな事を一に言えばお前は「あんたは何を馬鹿なことを言っているんだ」なんて言いながらもきっと頬を染めてくれるだろうから。俺は何度だってお前に伝えるよ。

「なあ一、俺は一が愛しい」

きょとんとした表情と共にしきりに瞬きを繰り返す一を抱きすくめる。誰かに見られるかもだとか、そういった事も勿論頭の片隅に置いているけれど。何故か、今。言わずには居られなかったから。それを言い訳宜しく苦笑混じりで伝えれば、一は珍しく喉を鳴らして笑ってくれた。

「……四季、俺もあんたのことは……その、好いている」

ぎゅ、と俺の肩口に額を埋めながらも答えてくれた一にもういい加減限界なんじゃねえかってくらいに愛しさが募る。
普段何気無く過ごす当たり前の日々が大切だなんて、そんな青臭い考えだけれども。ありふれた日常の中に相手への愛情を持って過ごせれば、それはまたかけがいの無い大切な物へとなるんじゃないかと思ったある日の一日。


にちじょう


(好いてる、愛してる、)
‐End‐
20110314.