- ナノ -

ねこのひ。

※SSL
「やっぱり総司が一番、だな」

一人呟いて手に持ったそれを鞄に入れる。隣の席では一が俺の手元を見て不思議そうに瞬きをしていたものだからへらりと緩い笑みを浮かべてやり過ごした、ちなみに今の時刻は午前8時42分。数分前にHR開始のチャイムが鳴って、土方さんが教壇で出席を取り始めたところ。あ、確かに一番は総司かもしれないがもしかすると土方さんもよく似合うかも、なんて頭の片隅で考えていればガラリと教室のドアが開き総司が社長出勤宜しく俺の後ろの席に着いた。

「はよ」
「おはよ、四季君。あと一君も」

後ろを向いて挨拶をすれば、ふあ、と一つ欠伸を漏らしそう返される。総司の一連の行動に一はと言えば眉間に皺寄せて教壇へと向き直った。

「総司、四季」

かつかつと革靴を鳴らして俺達の元にやってくる土方さんを横目に鞄から先程しまった物を取り出す。にんまりと口の端が上がるのを感じつつ未だに欠伸を漏らしたきりの総司の頭へと被せた。

「え?」

きょとんと瞬きをする総司に笑いかけて携帯のカメラで写真を撮る。かしゃりと、妙に響き渡ったシャッター音に満足をしつつ来るべき土方さんからの拳骨に備えて目をつぶった午前8時58分。


ねこのひ。


(うん、総司すげえ可愛いじゃん)
(ねえ四季君、何のつもりなの)
(何って見ての通り猫耳カチューシャ、総司が一番猫っぽいしな)
(……ふーん)
(あれ、反応鈍くね。あ、そうだ……土方センセも被りましょうよ、総司とお揃い)
(えー、土方さんとお揃いなんて死んでも御免だよ)
(つまんねえの、だって土方さんもどっちかっつうと猫だろ)
(んー、どうだろうね)
(……てめえら一体今が何の時間だと思ってやがる)
‐End‐
20110222.