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なぐさめ

※SSL
「そういや平助が泣き零してたぜ、数学なんか滅んじまえって」
「はあ、平助の野郎何て事言いやがる。第一あいつが普段俺の授業で居眠りこいてんのが悪いんだろうが」
「そもそも数学が滅んじまったら日本の経済も滅ぶんじゃねえか。ああ、そういや四季。龍之介が叫んでたぜ、世界史なんか爆発しろってな」
「ちょ、うわー龍之介の奴酷え事言うじゃねえの。仕方ねえからテストは難しくしてやろうか」

散々と生徒からの猛攻撃へと反論を零した後、はあ、と俺と新八の溜息が職員室内に虚しく響いた。隣ではそんな俺達の様子に左之がくつくつと喉を鳴らして笑ってるモンだから余計に虚しさは倍増する。

「そもそもだ、いくらテスト前だからってあいつら早くも力尽きる間際っつう事だろ」
「ったく、生言ってんじゃねえよ平助も龍之介も。つうか左之、お前はどうなんだよ」
「いや俺んとこは筆記は無えからよ、表立った愚痴は聞かねえなあ」

左之の言葉に再度溜息を吐く俺と新八。いやまあ確かに俺だって学生時代はあいつらと似たような事を考えてたけどよ、なんつうかあれだな実際教師側に立ってみて初めて分かる苦労っつうのか。

「お前らはまだマシじゃあねえのか。土方さんを見てみろよ、毎日が総司との戦いじゃねえか」

肩を竦めて苦笑する左之にでもよー、とふて腐れる新八。そりゃあ総司に比べりゃあ龍之介も平助も可愛いモンだとは思うが。

「でもよ、やっぱ虚しくねえ?」

なあ新八、とうなだれれば新八もだよなー、と唇を尖らせる。そんな俺達を見兼ねてか左之はマグカップに煎れたてのコーヒーを俺達に握らせた後にぐしゃりと頭を撫でて見せたモンだから俺も新八も目を見開いてた訳で。

「まああれだな、俺はお前らの教科好きだぜ。あいつらもそのうち分かるだろうさ」

ふ、と小さく笑って俺達二人を慰める左之に飛び付いた俺と新八は決して間違っちゃいねえ、と思う。


なぐさめ


(左之ー、ちくしょう一々格好良過ぎなんだよー)
(四季の言う通りじゃねえか、ばかやろー)
(はあ、全くお前らは大袈裟過ぎだっての)
‐End‐
20110123.