- ナノ -

贈り物

※SSL
なあ一、と背中越しに声をかければちゃんと振り返ってくれる姿だとか。どうかしたのか、とじっと視線を合わせて話を聞いてくれる姿勢だとか。手を伸ばした先にあった項へと口付けをした時に途端に赤に染まる首筋や耳元だとか。抱きしめた時に小さく俺の名前を呟く唇と声だとか。斎藤一って人間を形成する全てが好きで堪らないと、そう伝えて腰にやった手の力を強めれば。自然と隙間はゼロになって今俺の直ぐ目の前、直ぐ傍には頬を赤で染めた一が俺の視線から逃げる様に瞳を閉じてじっとしていた。ぎゅうっと抱き締めて離すまいときつく引き寄せる。一跳ねした肩に笑いを漏らせば、ふいとそっぽを向かれて。その際に髪の間から見えた耳に口付けを落とせばびくりと震える身体。

「一、なんか今日すげえ緊張してねえか。心音、いつもよか数倍早い」

じっと見詰めてそう聞けば。一は数秒間視線をさ迷わせた後にすり、と頬を寄せて来た。自分からその行動を起こした割にそれまで以上に肌には赤みが増したし、目尻にはうっすらと涙が見えた。

「ふは、甘えたな一も可愛い」

そう言って唇へと触れるだけの口付けを落とす。好きだ、耳元で囁いてきつく腕に閉じ込めれば何が楽しいのか一はくすくすと楽しげに笑みを漏らした。

「四季、俺はあんたのその言葉に随分と沢山の感情を貰うようだ」

綺麗な顔して笑う一に今度は俺の頬が赤に染まるのを感じた。


贈り物


(なあ一、俺も一から色んなモン貰ってんだからな)
‐End‐
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20110101.