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日常茶飯事

※SSL
「さーいとーくんっ」
「……っ、」

ふっは、そんないきなり抱きつかれてびっくりしてきょとんって目をぱちくりさせるなんて、本当斎藤君の反応はグッジョブ以外の何物でもないと思うよウン。毎回斎藤君を見掛ける度に抱きつく俺も俺だけど、そんな斎藤君の反応が可愛いから止められないわけで、そうつまるところお兄さんはムラムラしちゃいますよって話。

「四季」

我ながら情けない面してるんだろうなってのは棚に置いておいて斎藤君の抱き心地を堪能していたら不意に頭に走った衝撃。

「……ってえ、ちょ、総司っ 今のはいくらなんでも酷えよっ」

これもいつもの事だよなあって痛む頭でぼんやりと考えてりゃあそこに居たのはにんまりと意地の悪い笑顔を浮かべた総司で。ちなみに右手には今さっき俺を殴ったと思われる日誌が握られてた。ちくしょう、あれ絶対角だっただろ。

「酷いって聞き捨てならないなあ、僕はただ四季が強制猥褻で捕まらないよう助けてあげたっていうのに……あ、一君これ今日は僕らが当番だってさ」

いけしゃあしゃあとそう言ってのけた総司は持っていた日誌を斎藤君に手渡して改めて俺に向き直った。

「四季も懲りないよね、本当どうしてこんなのが身内なんだろう」

あからさまに溜息を吐く総司と唇尖らせて拗ねる俺。これじゃあどっちが年上だよっていう、ね。いやまあ正真正銘俺のが年上なんですけども。

「んなこと言ったって仕方無えだろ、総司も俺が昔からこんなだってのは分かってるだろうが。まあ、大好きな従兄弟のお兄さん追ってまで同じ学校に入学するぐらい俺の事が大好きだってのは分かってっからよ」

にへら、て。端から見りゃあさぞムカつく笑みだろうなあって顔で総司の頭を撫でてやる。対して総司は今はそれ関係無いでしょ、だなんてもごもご呟いてる。うんうん、これが所謂ツンデレってやつだよな。

「と、言う訳で斎藤君っ んな所に突っ立ってないで俺の胸へカモンッ 二人揃ってぎゅうっと抱きしめてあげるから」

可愛いなあこいつは、暴れる総司を抑え込んでぎゅうぎゅう抱きしめながらそう思う。ちらりと視界の端に映ったどうしたものかって立ち尽くす斎藤君を引き寄せて二人まとめて抱え込んだ。ちなみに二股じゃあ無くて博愛主義者と呼んでもらおうか。

「ああ、やっぱ二人とも抱き心地良過ぎるって」

へらり、腕の中に居る二人に笑いかければ互いに顔見合わせてぎこちなく笑うもんだから俺がこうなのは二人にも要因があるって事。ふは、ああ幸せ。よし、充電も完了したところで教室行くか。そう思って泣く泣く二人を解放すれば俺の後ろにはまさしく鬼のような顔した土方さんが立っていたそうな。


日常茶飯事


(で、今回は一体何したって言うんだ)
(うう左之さーん、斎藤君と総司を構い倒してたらホームルームに遅れた)
(それで罰の荷物持ちってことか)
(土方さんってば本当昔から厳し過ぎるっての)
(まあ懲りねえ四季も四季だろ)
(左之さんそれ禁句だからー)
(そーかよ)
‐End‐
20101204.