- ナノ -

拍手お礼

知ってるか蘭丸、昨日から世間様は12月なんだぜ。俺の呟きに飯をかっ込む蘭丸は口をもごもごと動かしながらも続きを促すかのように目配せしてくる。別に大した話もないが、とりあえずと12月ならではのイベントを口にすれば口の中の物を咀嚼し飲み込んだ蘭丸は茶をずずっと啜った後に頬杖を着いてこちらを眺めてきた。

「で、それがどうかしたか」
「世の中の彼氏彼女が喜ぶメインイベントだからな」

まあ俺達はクリスマスライブだけど、と続ける筈だった俺の口は言うべき音を発せずにぱくぱくと開閉を繰り返す羽目となった。何故か、なんてそんなの蘭丸の口から予想外の呟きが漏らされたからだ。

「彼氏と彼氏の場合はどうなんだろーな」

にやりと口端つり上げてのその言葉。俺が目を見開く姿にくつくつと楽しげに喉で笑う姿が妙に楽しげに見えて新鮮で仕方ないけども。一体どういう風の吹き回しだ、と俺が問い掛けたところで返される返答は無し。

「事実だろ、おれとおまえとじゃどうなんだろーな。イルミネーションでも見に行くかライブ帰りに」

ひょい、と向かいの席から身を乗り出して俺の耳許で低く囁かれるその言葉。お前結構俺のこと好きだろ、とイケメンオーラにやられたままじゃ癪だと負け惜しみ宜しく襟首引きつかんで唇が触れるぎりぎりで返してやれば。

「ふ、てめえは違えのかよ」

舌先でぺろりと一舐めされると共に悪戯に返される台詞に俺の頭はくらりと揺れるばかり。


お誘い


(なら25日の夜は開けとけよ)
(返事の代わりに返された唇に噛み付くようなキスをした)
‐End‐
拍手お礼:設置期間→20121202〜20160506