- ナノ -

充電

※SSL
疲れた、の一言を溢して充電とばかりに龍に抱き着いてみた。と言うよりは龍を抱き締めてみた。わたわたと腕の中で暴れる龍の背に腕を回して強く抱き締める、腰に片手をやって抱き寄せ互いの距離をゼロにする。龍の肩口に顎を預けてすんすんと鼻を鳴らせば胸板を弛く叩かれる感触、それすらも、一種の興奮材料だったり。

「何か、あったのか?」

恐る恐るといった調子で問われたそれに喉で笑えばあからさまにむっとしたのが雰囲気で見てとれた。拗ねるなよ、と蒼の髪に口付けを落とせば返される言葉は照れ隠しのそれ。ああ、幸せだ、そう感じたのは今日だけで何度だろう。

「一週間が終わったから、龍で充電させて」

我ながら業とらしいなあとは思いつつも一旦身体を離して首をこてんと傾ける。しぱしぱと瞬きを繰り返す龍を眺めていれば不意に腕を伸ばされて髪をくしゃりと撫でられた。踵を僅かに上げて、つま先立ちで俺の頭をぎこちなく撫でる龍を抱き締めたのは、また別の話。


充電


(ふは、ありがと、龍)
(別、にこれくらい礼はいらない)
‐End‐
20120921.