- ナノ -

いっしょ

怠い、と思わず口をついて出たその言葉は今更に取り消せるはずもなく。瞳を真ん丸にして俺を見詰める涼太の肩口を軽く押すことで促す。は、と気がついたのか瞬きをしきりに繰り返す姿に思わず喉が鳴る。笑わないで欲しいっスなんてまとわり着く涼太の手首掴んで先を急げばぱたぱたと後を追う涼太とずんずんと大股でひたすらに歩く俺の図が出来上がる。

「ねえねえ、四季っち」
「……ん?」
「なんつうか、四季っちも怠いとか口にすんだなって考えたら気が楽になったんスよ」

そう言ってにへらと笑う涼太。そりゃあ俺だってまだぴっかぴかの高一ですからね。疲れた怠い面倒、くらい口に出して当然かと。下手にオブラートに包んだりもせずに思ったことを淡々と返せば涼太の奴はこれまたにっこり笑顔、うん、奴のツボがいまいち分からねえ。


いっしょ


(四季っちもオレらと一緒なんスねー)
(だから俺は正真正銘の現代っ子だっつの)
‐End‐
20120920.