- ナノ -

かみなり

ひくり、肩を何度も跳ねさせてちらちらと窓の外を窺う静を眺める俺。閃光が光る度、雷鳴が聞こえる度に肩をいちいち跳ねさせて、その度に胸元に引き寄せたクッションを強く握りしめる姿は普段の平和島静雄からは中々に想像しづらい。

「静、大丈夫か?」

とりあえず落ち着かせてやらなきゃ可哀想だということで温めたミルクを目の前に差し出す。雷の鳴る中レンジを使うなんてと口には出さないにしろ視線で訴えてきた静の髪をくしゃりと一撫で、心持ち髪がへたりとなっている気がするがそれはきっと欲目だろう、我慢我慢。

「雨も土砂降りになってきたし、そのうち収まるだろ」

こくこくと頷いて見せる静はやっぱり普段の姿からは想像出来ないくらいには弱くて、可愛らしい。なるほど、惚れた贔屓目恐ろしいなと変に納得をしながらミルクに口を付ける静の髪をひたすらに掻き撫でて落ち着かせる簡単な作業なう、なあんて。


かみなり


(……なあ)
(ん、どうした?)
(みるく、美味かった……あと、悪かったな、その)
(静が謝る理由全くないから気にすんな)
(……おう)
‐End‐
20120918.