- ナノ -

眠気眼

うつらうつら、前に揺れて後ろに揺れて。危なっかしげに頭を揺らす蘭丸の姿に知らずと頬が弛む。とりあえず、と手に持ったスコアをゆっくり指を解くことで自由の身にしてやる。解放されたスコアをテーブルへと放ったところで一呼吸、ちらりと蘭丸へと視線を投げるも幸いなことに起きる気配は無し。もうすっかり寝息まで溢す域に到達した蘭丸の肩をかるく揺すったところでやはり覚醒の色は見られないわけで。

「……でかいくせに細いから、軽い」

無意識に口をついて出た言葉に自分が言った言葉といえど小さく笑みが洩れる。食べるくせに太らないこの体質はなんなんだ、と。なんとなく悔しくて、ベッドへと下ろした蘭丸の額を指で一弾き。んん、なんて洩らされた寝息に満足した23時56分。


眠気眼


(四季、さみ、い)
(そう呟かれた直後に腕を引かれて)
‐End‐
20120917.