- ナノ -

睡魔

欠伸を洩らす四季君は見ているこっちにも移りそうなくらいに眠たげで、ひたすらに目をごしごしと擦って眠気を逃がそうとしているところ。随分と、無駄な抵抗だなと思いつつも僕から四季君に何かを言うなんてことはしない。ふあ、と欠伸を洩らす姿に喉がくつくつとなって。あんだよ、なんて欠伸混じりの声音で言われちゃえば僕の笑いが治まるはずもなくて。

「四季君、眠いなら寝れば良いのに。どうせ君のことだしもうすることは無いんでしょ」
「眠い、のは確かだけどな……夜番なんだよ、今夜は。だから今寝ちまうと色々まずい」

相変わらず欠伸混じりに返してくる四季君。夜番なら尚更に今寝とくべきなんじゃないの、とは思うけどこうなった四季君は僕が何を言っても無駄だろうからはいはいって返して後ろ手に手を振った。


睡魔


(ふあ、あー……ねむ)
(後ろから聞こえた欠伸にやっぱり笑うしかなかったけど)
‐End‐
20120916.