- ナノ -

興味

にこにこにこにこ笑顔でひたすらに黒崎くんのソロを口ずさむ嶺二の姿を眺める俺。いや別に拗ねてないし、嶺二が彼に構いまくってるのは知ってるし黒崎くんの方も満更じゃあないんだろうなってのが分かるから見てる分には微笑ましい。出来ることなら俺も、そこまで嶺二が可愛がる黒崎くんと仲良くなってみたい気持ちもある。とは言え彼とは中々会う機会も無ければ、仲良くなったらなったで嶺二に二重の意味で嫉妬されそうだ、悪くないけども。

「はあー、ほんっとらんらんのソロかっくいーなあ」
「その分だと嶺二、一枚じゃ足りねえんじゃねえの?」
「えへへー、お察しの通り。三枚買っちゃいましたあ」

ぶいぶい、とピースサインをして見せる姿が何だかとても可愛らしく思ってしまう辺り俺も逆上せているんだろう。なんとなしに腕を伸ばして俺よりも低い位置にある嶺二の髪をわしゃわしゃと撫でてみた。およ、なんて首を傾げる嶺二を眺めながら、ああ黒崎くんにもこんな風ににへらにへらしてるんだろうなあ、とモヤっとやらほんわかやら色んなモンが混ざりあった感情に気付く。あ、でも黒崎くんは嶺二曰くツンデレらしいから髪を撫でるなんて真似はしないかも。

「四季、なあに考えてるのかなあ?」

俺の名を呼んで、顔を覗き込んでくる嶺二のデコを指で軽く弾く。痛い、なんてさも当たり前な感想を溢してぐすぐす言ってる嶺二に、黒崎くんの苦労がなんとなく分かるような、そんな気がした。


興味


(ああ、そういや俺はアダ名じゃねえんだ)
(んん、何の話か分からないけど四季は四季でしょ)
(ん、まあそうだな)
‐End‐
20120915.