- ナノ -

休日

「うっは、酒くさー」

帰宅早々にくん、と胸元に鼻を近付けて俺が酒臭いだと宣う和成の頭を軽く一叩き。いってー、なんて大した力も入れてないその一発に業とらしく頬を膨らます和成を放ってリビングへと向かう。

「で、何でお前がうちに居るんだか」

財布と携帯をソファーに放り投げて冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを探す。グラスに氷を一つ二つと投げ入れてとぷとぷと注いで一気に煽る、冷たい水が喉を通る感覚に小さく身震いをして返答を待てば当の本人はソファーに俯せに寝転がって足をばたつかせる始末。眠いならさっさと寝りゃあ良いのに。

「おばさんに鍵預けられたんだって、四季クンが一人じゃ寂しいだろうからオレが来てやったの、ど、嬉しいっしょ」

へらりと笑ってのその言葉に髪をぐしゃりと掻き混ぜる。ならさっさと連絡寄越せばこんな時間まで飲んで歩いてることは無かったのに、とは言えずに吐息に全てを預けて一息。きょとん、と此方を見やる和成の頭を一撫ですべくグラスをシンクへと下げた午後11時。


休日


(なあなあ四季クン、明日オレ朝一で練習あんだけど)
(飯作ってくれんなら後ろ乗せてってやる)
(了解、ばっちり任せといてー)
‐End‐
20120908.