- ナノ -

決意表明

※SSL
決めた、俺はこれから一日一日を大切に生きる。今朝方読み終えた本に影響されての言葉に左之助は好きにしろよ、などとさして興味も無さげに鼻で笑うと手近にあったペットボトルに手を伸ばした。その姿に腹立ったからペットを奪って中身全部飲み干してやった、温い。

「あ、……ったく、お前は」

ぽか、と空いたペットで頭叩かれて。言葉のわりに怒ってる様子もない左之助を上目遣いでちらりと見上げれば。で、それに至る理由は。なんてやっぱり話をちゃんと聞いてくれてたようで、たったそれだけのことに俺の機嫌はマイナスから一気にプラスへ、我ながらすげえ単純。

「さっきまで読んでた本が、学生生活をエンジョイしてた」

そうかよ、それで。適当な振りしてしっかりと先を促してくれる姿にほっこりと温かさを貰いながらも続きを話す。大学に進学して、無事に就きたい職に就ければそれは幸せ。でもそうなると好き勝手出来る学生時代はあと2年ちょいということで。それを考えれば何故かすげえ寂しくなった、とほぼノンブレスで言ってやる。

「左之助は大学院に進むだろうけど、俺は大学出れば学生終わりだからな」

あー、寂しい泣けてきた。ぐだぐだと左之助の首元にしがみ付いて駄々をこねれば再度頭をペットで叩かれる、地味に痛い。

「ばか、んなこと言ってる暇あるならさっさとエンジョイとやらをしろよ。お前は決めたら早いからな、何事も」

はいはい、と髪くしゃりと撫でてくれる左之助は飴と鞭の使い方が上手いと思う。うん、やっぱ良い奴だわ左之助は。


決意表明


(俺がエンジョイするには左之助が必要不可欠だからな)
(ふ、そりゃあ朗報だな)
(左之助ー、ぎゅー)
(犬かお前は、……ったく、)
‐End‐
20120904.