体調不良
頭が痛い、腹が痛い、おまけに吐き気。今現在の自分の顔色はそれはもう酷いものだろうと溜め息を吐きたいが、そんな悠長なことを言っている暇があるならば俺は一刻も早く自室に戻りたい。とは言え、未だやることは済んでいないし明日は朝稽古の当番の為に遅くまで寝床で丸まっているわけにもいかず。
「四季じゃねえか、どうした、飲み過ぎか?」
どうにもこうにも立てなくなり、情けなくも床に這いつくばるかのように自室を目指せば頭上から聞こえてきた声に視線だけを上げる。見れば左之助が僅かに目見開いて俺の前に立っているわけで。飲み過ぎか、なんて不本意な問いに反応を示すのすら億劫になりそのままの体勢で身体中の力を抜いて見せる。
「たぶん、寝りゃあ、なおる」
随分と拙くなったその言葉に左之助は辺りを見渡した後に俺に背を向けて腰を屈める。ああ、なるほど。礼を言うのもそこそこにその背中へと身体を預ければ途端に脚は宙を掻く。
「しんどい時くらい無理すんじゃねえ、頼れよ」
肩越しに振り返られてのその言葉。にへらと笑みを浮かべたのを最後に意識は急速に遠退いていった。
体調不良
(翌朝目が覚めたら頭に一発)
(あれ、俺病み上がりなんだけど)
‐End‐
20120827.