- ナノ -

かまってちゃん

ぺたり、と背中に引っ付いてくるHAYATOをそのままに包丁を手に取って野菜を刻む。ぱし、と掴まれた手首に肩越しに振り返れば頬を膨らますHAYATOの姿。

「危ないから離しなさい」
「……ぶー、四季くんがボクに構ってくれないからだにゃあ」

ボクぷんぷんなんだからね、なんて大の大人がなんて顔してるんだかと突っ込んでやりたいくらいには「不貞腐れてます」な、表情を見せるHAYATOとそんな奴に構わず切り終えた野菜をザルに上げて軽く水洗いをする俺、手近なビニールに野菜と浅漬けのもとを入れて軽く揉みしだく。HAYATOはと言えば俺の肩に顎を預けて覗き込んでいるわけで。

「ハヤト、ほら」

このまま放っておいたところでさして影響はないけれど、それじゃあなんとなく、俺がツマラナイ。

「……うう、四季くんが足りないんだにゃあ、ぎゅっぎゅーってして欲しいのっ」


試しにとばかりにHAYATOと向き合う形に体勢を直して腕を広げてみれば途端に抱き着かれる始末。


かまってちゃん


(いや別に可愛いとか思ってないから、少ししか)
‐End‐
20120826.