- ナノ -

予想外

近頃、妙に総司がくっついてくる。気付けば部屋に居るし、俺の背中を枕代わりにしていつの間にか眠っていたり。出会った当時は警戒心ばかりを向けてきたくせに、すっかりそれも消え去って今では常に隣に居る始末。訊けば隊務はこなしているようだから、その辺りの心配をせずに済む分には有り難い。

「……四季君、暇なの?」

ずい、と肩越しに覗き込んでくる総司。別に嫌だとか、そういうもんでもないが些か肩が重い。それを口に出せば、なら僕の方を向いてよ、なんて言い出しやがる。それはつまり目の前の書状の完成が遠退くということで、だからといってこのまま総司を放っておけば事態は悪い方――つまりは俺にとって面倒な方へと転がることは目に見えているわけで。

「……なら、少しだけだからな」
「え、」

仕方ない、そう腹を括って総司の方へと向き直り腰を落ち着かせる。妙に黙りこくってるなこいつは、と。なんとなしに視線を上げればそこには珍しく呆けた表情を浮かべる総司の姿。

え、なにこの展開。


予想外


(だって君が、急に振り返るから)
(ぼそぼそと呟くその姿が可愛いだなんて)
(調子乗るから絶対言ってやんねえ)
‐End‐
20120825.