願う
元気のない姿を見るのがイヤです。貴方の、笑顔を僕は見たいんですよ……なあんて、そんなの僕のワガママだって知ってます。でも、それでも、僕は貴方に笑ってもらいたい。僕も、それはきっとあの子も、そう思ってるだろうから。
( ……なに、辛気くせえ面してんだあいつは )
さっちゃんの声が聴こえてきて。僕の目を通して彼を見るさっちゃんはきっと少し不機嫌そうなお顔をしているんだろうなあって。
「理由は分からないんです、でも、なんだか悲しいお顔で……」
僕の声に応える声は無いけれど、確かに聴こえるお返事は紛れもなくさっちゃんのもので。
( なら、那月……お前が、元気にしてやれよ )
ぽんぽん、って。風が髪を撫でる感覚がさっちゃんからのお返事と妙にマッチしていて、頭を撫でられた気分になりました。それは彼に、四季くんに以前撫でられた際の感触にも重なって。
「四季くん、どうかしたんですかっ、」
声をかけて、振り向いた貴方がどうか、元気になりますように。
願う
(ね、笑って。僕は、僕たちは貴方の笑顔が大好きなんです)
‐End‐
20120517.