構う
寒いと呟く龍に手招きをすればきょとんとした実に可愛らしい顔をして近寄ってきてくれた。試しにと両手を広げてみたところ、流石にその行動が指す意味は分からなかったようで首を傾げて見せる。そんな一つ一つの仕草が愛らしいと感じる辺り、自分は随分とこの少年にお熱なようだと苦笑混じりの吐息を吐く羽目となった。
「な、んの用だよ」
些か吃りながらの言葉にも俺の頬はだらしなく緩むばかり。だって寒いんだろ、と。さも当然のごとく言いきって再度両手を広げてみれば漸く理解出来たのか、かあ、と顔を赤くして見せるものだから質が悪い。
「んな可愛い顔しないでよ」
「な、あんた目が可笑しいんじゃないのかっ」
あたふたと慌てる姿でさえ愛しいと思うのは俺がこの少年に溺れている証。
構う
(りゅーう、こっち向いてよ)
(……っ、遠慮しとく)
(ふ、かーわいい)
‐End‐
20120423.