- ナノ -

贈る

ぐ、と腕を引かれた力に逆らわずに居れば途端に目の前にはベッドが迫っていて。ぼすん、と音をたててベッドに埋まるドラコに覆い被さる形で、けれどもどうにか体重をかけずに済むようにドラコの顔の傍らへと手を着くことが出来安堵の息を吐く。俺をベッドに引き摺りこんだ張本人と言えば一切の言葉を発せずにただ無表情に黙りを決め込むばかり。どうしたもんかとその顔を見詰めていれば、途端にネクタイを引かれドラコとの距離が一気に縮まったのが分かった。

「happy birthday、僕が、プレゼント代わりだ」

互いの唇が触れるぎりぎりで囁かれたそれに瞬きを一つ。それまでの黙りが嘘みたいに、悪戯が成功したガキのように口端を吊り上げて笑うドラコの言葉にくらり、と脳がぐらつく。

「後悔すんなよ、泣いても止めねえからな」

言うと同時にその首もとへと顔を埋めた2月26日、午前0時02分。


贈る


‐End‐
20120301.