- ナノ -

買い出しと、笑顔

見るとこ見るとこ溢れ返る女、女、おんな。いやまあすっげえ美人な姉ちゃんだったりおっぱいでっけえ女だったり目の毒、じゃねえか、目の保養にはもってこいだけど。つか男は俺だけじゃね、って気付いて周りを見渡してみれば、うん、やっぱ俺だけだよな。

「う、さっさと買って帰るぞ」

買い物カゴに放り込んだ板チョコにバニラエッセンス、アーモンドやらなにやら。俺の専門は飯だけど、まあ作れねえこともねえしってことでバレンタイン用の菓子を手作りする、つもり、だ。

( 燐君からの手作りが、欲しいなあ )

見てるこっちが顔熱くなっちまうくらいの緩んだ顔で四季が言うから。滅多に頼み事なんかしねえあいつが俺に向けて言ってくれたから、どうにもこうにも嬉しくなっちまって今こうやってバレンタインコーナーにカゴ抱えて居るわけで。

「どうせなら、美味いモン食わしてやりてえしな」

燐君からのチョコなら、何を貰っても嬉しいよ。出掛けに言われた言葉を思い出したらやっぱりテンションが上がっちまって、冬だってのに熱くなった顔をぱたぱたと空いた手で扇ぎながらレジに向かった。


買い出しと、笑顔


(喜んでくれりゃあ良いな)
‐To be continue‐
男主とバレンタイン(part.3):男主×奥村兄、二日前。
設置/20120212〜20120225