- ナノ -

寝言

一護、と試しに呼んでみるものの一向に返される言葉はなく。すう、と相も変わらず小さく洩らされる寝息に肩を竦める、けっして悪い意味でもなんでもないが。

「ったく、んな無防備な面さらしてんじゃねえよ」

しん、と静まり返った室内に苦笑混じりに響く俺の声。どうしたもんかなあ、と惜しげもなく晒されるいつもよか大分幼い寝顔を堪能していれば。

「ん……、四季」

小さく、寝言として洩らされたそれに情けなくもひくりと肩が揺れて。誰に見られるもないはずなのに無意識に室内を見渡した行動を自覚した途端にかあ、と頬へ熱が上がるのを感じる。

「ばーか、寂しいんだよ。早く起きろ、」


寝言


(ん……、なんだよ来てたんなら起こせよ)
(んー、いや気持ち良さそうだったし)
(あー、悪いな暇にさせちまって)
(いや、なんか得した気になれたから大丈夫)
(は?)
(ん? こっちの話)
‐End‐
20120223.