- ナノ -

※SSL
「……眠いなら寝てくれ、俺に付き合わせるのも悪いしな」

ふあ、と洩れた欠伸を噛み殺した瞬間を見られた後の言葉に肩を竦めるしかなくて。確かに眠い、けれども、うんうんと唸りながらも必死に机にしがみつく龍之介の姿を見ていながら自分一人だけ寝るわけにはいかないだろうと手放しかけた意識を教科書へと戻す。

「あんたは、明日も早いんだろ」

ちらりと上目使いをされながらの返しに頷くしかなくて。なら寝てくれ、そう言われるのは当然で。我ながら情けない、と若干の自己嫌悪に陥った。

「龍之介、お前は何時までやるつもりだ?」

壁にかかった時計を横目に小さく聞けば。この章が終わり次第寝る、との答えにいくらかの安堵を交えた吐息を吐く。

「悪かったな遅くまで付き合わせて、あんたの……四季の説明は分かりやすかった、ありがとな」

珍しい微笑付きのその言葉には逆らえるはずもなく、小さく頷きを返した後にそっと龍之介の髪へと手を伸ばす。

「それじゃ、先に寝てるな。あまり無理すんなよ、龍之介」

ぐしゃり、と。撫でた髪の感触を堪能しつつ伝えたそれはなんともちゃっちな常套句で。次回こそは最後まで付き合おうと固く心に誓った、午前0時34分。



(おやすみ、龍之介)
(ああ、おやすみ)
‐End‐
77777をお踏みになった綺瀬梼姫さんからのリクエストでした。ご本人様のみお持ち帰り可です。この度はキリ番報告、並びにキリリクを有り難うございました!
20120221.