- ナノ -

極彩色の欠片を光に透かす

快活さと根明なその姿が心底眩しいと感じた。同時に自分なんかが触れていい存在なのか、そういったこともほんの少し、頭を過りはしたものの自分としては根暗が根明かと問われれば後者に位置する性格だったことも幸いして件の『宿儺の器』である彼とは良い友好関係を築けているはずだと自認している。いや、あっちはどう思っているのかは知り得ないけども。


「近衛!じゃんけん負けちったから何飲む?俺買い出し罰ゲーム」
「ちなみにゲーム参加者は?」
「伏黒と釘崎、先輩らは観客」
「じゃんけんした理由は?」
「喉乾いたから」
「把握」

実にポンポンと交わされる軽い言葉の投げ合いを楽しみながら頭に浮かんだ人数をそのまま口に出せばなるほど、持ち帰るまでの場面まで考えが至っていなかったと頭を抱える姿に思わず笑いが漏れる。

「俺はコーラ、そんで手伝うからオマエの一口ちょーだい」
「うっしゃ、さっすが近衛。んじゃさっさと戻って皆で乾杯な」

からっとした笑みで返されるその言葉。夏の日差しの暑さに濃くなる影を追いかけ、追い抜いて、振り返った視線の先の虎杖に笑みを返す。

「自販機まで競争で!」
「乗った!」


20211012
(Title by Garnet)