- ナノ -

青色のドロップが出たら君に告白しよう

「ドロップ缶に水入れてジュースになるっていうあれやったことある?」
「……急に何を言い出したかと思えば」
「いやー、ほら暇じゃん。まだ警備の人ら来ないし」
「その“警備の人ら”に貴方は含まれないのですか?」
「今日はオフだからね俺。というか、君が出てくる時はいつもオフ」
「それはまた何故?」
「え?今更それ訊く?」

からんと音をたてて転がり落ちるドロップが白の手袋に掻っ攫われて俺の手元から消えていく。

「だって仮にも仕事中は君とお喋り出来ないし」
「それは、……でしょうね」
「そ。だからオフの俺が君とどう話そうと何を話そうと自由。そんで今日はたまたまドロップ缶を持っていたからこの話題」
「……たまたまドロップ缶持ってたって何だそら」

不意に砕けた口調と共にがり、と耳に届く音は彼がドロップを噛み砕いたそれだ。俺も、とばかりに缶を振って出てきた色は青。

「小さな探偵くんにも通ずる色だけど、君にも似合うよねこれ」
「……青、の味とは?」
「さぁ?無難にブルーハワイが思い浮かぶけど流石にドロップにブルーハワイは無いでしょ」
「食べてからのお楽しみというやつでしょうか?」
「だね、ほらあーん」
「……で、食べるのはオレなのね」


20211009
(Title by Garnet)