- ナノ -

混合酒に恋の隠し味

下戸を連れ立って酒屋に行くわけにも行かず、自室で始めた宅飲み開始からはや三時間強。

「カクテルってさ美味しい?」
「下戸には無理だと思うぞ」
「いつも思うんだけど反転術式効かないのかなアルコールって」
「試す?」
「いや、やらないけど」

他愛もない会話がキャッチボールのように交わされる。俺はカクテルに軽くほろ酔い気分で下戸の五条はもちろん素面。空いた缶の本数は片手に収まる程度だからこそ途切れることのない会話だとも言える。

「酒飲んだ俺とチューして軽く触れてみる?」
「え、佳すげぇ酔っててウケる」
「いや流石にほぼ素面だけどな」
「あっは、超迷うけどそれならもう少し飲んでほしいかも。もっと酔って僕にも」
「お前そういうの何処で覚えてくんの?」
「秘密」


20211031
(Title by Garnet)