shall we dance?



「さぁて次の衣装よー!」

高らかに宣言したネイサンに続いて出てきた虎徹は度重なる着替えでぐったりしていた。
ベージュ色の薄手のカットソー、それから透けて見えるキャミソールは白、ぴっちりとしたスキニージーンズは彼女の美脚をより強調していた。見ている分には非常に楽しいが、服を着替える度に彼女の愛想笑いがぎこちなくなっていくのを見て、不憫になってくる。

「そろそろお腹も空いた頃だし、お開きにしないかい?」

アントニオとバーナビー、イワンは驚いたようにはっと声の主を振り返った。そこには爽やかな笑みを浮かべたキースがいた。

『一番気を遣わない男が気を遣った…!』

気を遣わないというよりも天然で気が付かないだけなのだろうが、問題はそこではなかった。気を遣えない男が気が付くほど虎徹が疲弊していたのだろう。虎徹は助かったとばかりにベンチに座り込んだ。

「あら、そういえばもうこんな時間ね。すっかり夜じゃない。」
「じゃあ残りは明日ね。」

ネイサンとカリーナが洋服の片付けをする中、キースが虎徹に歩み寄る。大きな影が虎徹を覆ったところで虎徹が顔を上げた。

「よお、あいつら止めてくれてサンキューな。」

疲れたように笑う虎徹の前に膝をつき、驚いて面食らった彼女の手を取る。そのさりげない仕草に、ネイサンは二度見、カリーナは唖然、その他一同は固まってしまっている。そんな雰囲気をものともせず、キースは女性がとろけるような微笑みを虎徹に向ける。

「今夜ディナーでもどうだい?もちろんその格好でね。」

あまりのことに虎徹はパニックになってしまい、返事出来ずにいると追い討ちをかけるように虎徹の手の甲にキスを送る。虎徹は恥ずかしさのあまりハンドレットパワーを使い、キースに自分が座っていたベンチを投げつけて走り去ってしまった。



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