それは暖かで


ゆっくりと流れる綺麗な音。
豪華なお城に美味しそうなご飯。
ふかふかのソファ。
にこやかな顔でパーティを楽しんでいる人達。



最初は参加しようかなんてあまり考えてなかったけれども、やっぱり来て良かったって実感したんだ。



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「ウェルウェルー!あっちで遊んでくるね!」

「パパ、マリアも一緒に遊んでくるわ!向こうにいる白いのも一緒よ!」

「うん、気を付けてね?」


パタパタと可愛らしい足音を立てながら走っていくアイリーンとアマーリア、二人の背を笑って見送る。向こうに見えた小さな少年がよくアマーリアから聞く「白いの」なのだろう。誰かに悪戯をしなきゃいいけど、と苦笑いをしながらラルウェルは隣で一緒に果実酒を飲んでいたシルティナに視線を移す。
今日初めてお酒を飲んだらしいが思いの外気に入って貰えたのかペースが早くて、それをちょっと心配しつつラルウェルもパーティの空気に甘えてグラスを傾けた。

そんな風にまったりと二人でお酒を飲みながら皆が踊っている姿を見ていると、やはり何人か見知った顔を発見する。その中にトゥルームを発見してラルウェルはつい目で追いかけた、お相手は知らない人だけれどとても上手にリードをしていて華やかで楽しそうだ。その奥でジュゼッペとアンゼを見つける、先程の二人とまで上手とまではいかないが何よりも楽しんでいる姿をみてちょっと心が疼いた。


楽しそう。



「…シルは踊らないのかい?」


ふと思えばシルティナにそう問い掛けていた。するとシルティナは持っていたグラスを置いてノートを開き、文字を書き始める。彼女の為にいつか読唇術を覚えたいな、とぼんやり思っていると描き終わったのか、ふるふると首を振り苦笑を浮かべながらノートを掲げた。


≪やったことないから踊れないの。ラルくんは踊らないの?≫


その言葉にラルウェルはトゥルームにダンスのレッスンをして貰った事を思い出しつつ「あはは…僕も付け焼刃だからなぁ…」と返す。



「…でもせっかくのダンスパーティだしさ、シルが良かったら踊らない?あまり堅苦しく考えたりしないでさ」



そう、せっかく教えて貰ったのだし、こんな機会なんて滅多にない。それに皆のあんな楽しそうな姿をみたらちょっとやってみたい。
にこりといつもの微笑みを浮かべれば、シルティナもそれに答えるように微笑み返してくれた。



≪ラルくんが良いなら。あ、でも…きつくなったら止めて良いからね?≫

「僕は大丈夫だよ。シルも疲れたらすぐに言ってね?…じゃあ行こうか」


そっと手を差し出せばシルティナはコクコクと頷いて手を重ねた。
「よろしくお願いします」の音のない声に微笑み返しながら、ラルウェルはシルティナの手を引きダンスホールへと向かった。




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結局ダンスはぐだぐだになってかっこ悪くなっちゃったけど、だけどシルも僕もたくさん笑って、凄く楽しかったんだ。


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企画内企画、ウィンターパーティでのお話。

翡翠さん宅、アイリーンさん(@KingfisherPixiv)
ツミキさん宅、アマーリアさん(@tumiki_kikaku)
つねこんさん宅、シルティナさん(@tsune_kon)
冴凪さん宅、トゥルームさん、ジュゼッペさん(@sana_mif)
るるさん宅、アンゼさん(@lelexmif)
お借りしました。



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