小説 | ナノ






※大学生設定




初めて一緒に風呂に入ったのはいつだったか。
恥ずかしいから入浴剤を入れなきゃ嫌だと頬を膨らます名前を見て、ため息を吐きながら近くのドラッグストアまで買いに行ったのを覚えてる。
...そこまでしても入りたかったのは俺だけど。

今は入浴剤の助けが無くても一緒に入ってくれるようになったが、なぜか自分が後から湯船に入るのが嫌らしく名前の「いいよー」の声を聞いてから俺は風呂場に向かう。


2人が入るには少し狭いバスタブでは、いつも名前が俺に寄りかかる形で入る。ありがたいことに体のほとんどが密着している状態なのだ。

女子の体はどうしてこんなに柔らかいのか。決して太ってる訳でもない名前の体は、肌は白くすべすべで手首や足はこんなに細いのに触れるとやっぱり柔らかい。


○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○


「ひぁっ」

「なあに」

「...なんでもない、です」


いきなり私のお腹にまわってきた賢二郎の手にいちいち反応してしまう。私の肩に顎を置く賢二郎の吐息が耳元で聞こえてつい体に力が入る。

「腹筋でも鍛えてんの?」

「え?」

「お腹、力入ってるから」

力を抜くためにはその耳元で話すのをやめていただきたい所だけど、どうやら本人は気づいてそれをやっているようで。

「なんでそんな耳弱いの」

笑いながらふざけて私の耳たぶを唇で挟む賢二郎。

「ね、今えっちな声出たね。」

やめてくださいと早口で連呼する私を見てまた面白がる。こんなんじゃ賢二郎の思う壺だ、と思い切った私は

「んっ...」

「も、やめて?」

「...名前からキスなんてめずらし。」

稀に見る賢二郎の優しい笑顔。優しい、というか嬉しそうというか...。

「名前からのキスがもらえるならもっと耳いじめたくなるね」

「...なんでそんなSなの」

「じゃあそれで喜んでる名前ちゃんはMだ」

ぐいっと腕を引かれてさっきよりも深いキス。
のぼせたのかな。いつもより気持ちい気がする。

「裸でこんなキスしてんだもん、しょうがないよね」

太ももにあたる賢二郎の固いそれ。

「どっちがいい?ここと、ベット」



「...ベットがいい」



お風呂の時はいつも同じ。









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