200階へ
「どんなとこかな?200階は」
「さぁな、オレもこっからは行ったことないからなぁ」
200階へと登っていくエレベーターの中、キルアとゴンが会話する一方でルリは黙り込んでいた。
いよいよあのヒソカとのご対面である。
ルリの記憶が正しければ、ヒソカが殺気を放ちながら待ち構えている筈だ。
ルリはその殺気に耐えられる自信がなかった。
殺気を向けられたことはあるが、恐らく禍々しいとも言えるであろうそれとは比べ物にならないだろう。
200階へと到着したエレベーターを降り、受け付けへと続く廊下へ足を一歩踏み出す。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせようとした、瞬間――――
「!!!」
バッと、思わず後ろへ下がってしまった。
(これがヒソカの殺気!!
不気味でまとわりつく様な嫌な感じ……。)
ルリは恐怖と緊張で震える体を何とか抑えようと自分自身の肩を抱いた。
「行くぜ、行ってやる!」
キルアの言葉に続き、ゴンが更に奥へと進んでいく。
ルリもすくむ足を無理矢理動かし二人に続いた。
しかし、数歩進んだだけで再び立ち止まってしまう。
殺気が強すぎてこれ以上先に進めないのだ。
「これは殺気だよ!完全にオレ達に向けられてる!」
「おい!!一体誰だ!?そこにいる奴出てこいよ!!」
ヒソカが来る!!と、身構えるルリ。
ところが、その言葉に答えるよう出てきたのは受付の女性であった。
「ゴン様、キルア様、ルリ様ですね。
あちらに受付がございますので、今日中に200階クラス参戦の登録を行って下さい」
そう言いながら受付の方向を指差す女性。
彼女が話す間も殺気はこちらに向けられたままだ。
「今夜の0時を過ぎますと登録不可能になりますので御注意下さい」
張詰めた空気のなか、天井から下がるデジタル時計の数字が8:12へと変わった。
「ちなみに200階クラスには現在173名の選手が待機しております。また、このフロアからあらゆる武器の使用が認められますのでお持ちになればどうぞ」
ゴンとキルアは、じっと女性の様子を窺っている。
「この殺気……あいつかな」
「わかんねー」
「またこのクラスから原則としてファイトマネーはなくなります。名誉のみの戦いとなりますので納得された上で御参加下さい」
「!おい」
女性の両側、二つに別れた通路の右側の壁から、何者かの手がヌっと現れる。
「「「!!」」」
(そうだった!この手は――――)
「ヒソカ!!?」
そう、その手の人物こそ、戦闘狂の奇術師ヒソカであった。
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