最悪の状況
ヒソカの言葉に三人は足を止め、ルリ顔を青くさせた。
ビリビリとした緊張感が全身を包み込む。
「二人が戻って来るまでの間、君には遊び相手になってもらおうかな♣」
「ハァ!?こいつ一人をここに残して行けるわけねーだろ!」
「ウイングさん!ルリが一緒でもいいよね?」
ヒソカとルリを二人きりにさせてはまずい、なんとかしようと焦るゴンとキルア。
ルリもどうしたら最悪の状況を回避できるだろうかと考えを巡らせる。
「私はかまいませんが、彼女に教えることはあまり無いかもしれませんね」
ウイングの返答に、キルアがまさかと言った表情で聞き返す。
「それってもしかして……!」
「ええ、彼女は既に念を習得しています」
驚き、ルリの方を見るゴンとキルア。
二人の視線にルリは申し訳なさそうな笑みを浮かべながら言った。
「"ごめんね"。私はここで待ってるから」
本当はもっと言いたいことが沢山あった。
この前は嘘ついてごめんね。
助けてくれようとしたのに、時間を無駄にさせてごめんね。
二人がどれくらいの時間で念を習得できるのか、
ルリは覚えていなかった。
もしも、0時前ギリギリだったとすれば一刻の有余も無い。
最早ヒソカとの戦闘を避けることは不可能だと考えたルリはここに残ることにしたのだ。
「何言ってんだよ?!」
「…………わかった。直ぐに戻って来るから!」
キルアは納得いかなかったが、ルリの真剣な目を見たゴンは置いていくことを決心したようだ。
「おいゴン!マジでルリを置いてく気か?!」
「うん。ヒソカは強いけど、ルリを殺すことまではしないと思うし……オレ達に今できるのは、ルリを信じてなるべく早く念を覚えてここに戻ることかなって」
ゴンがこうなってはてこでも動かないことを理解しているキルアは溜め息をついた。
「しょうがねぇ……オイ!後で嘘ついた理由聞かせてもらうからな!」
早く行こう!と急かすゴンと共にウイング、キルアも後に続き、今度こそ三人はこの場を去って行った。
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