余韻
「どうだった?」
「そうですね…すごく見てて楽しかったです!」
「…こんな興奮状態のテツって意外。」
興奮状態の彼に思わず笑みがこぼれた。
「…そうですか?」
「うん、でもいいと思うよ!」
彼のこの表情を見てると私も自然な笑みになる。
私の言葉に彼は少しだけ目を見開いたようだった。
「私もね、ここのバスケは楽しそうだなって思った。
…でも選手としてはやってても面白くなさそうだなって…」
小学校の頃にやっていたバスケはただ『裏切り』が待ってるだけのスポーツ。
だから私はもう、選手としてはやりたくない。
「…そうですか…」
私の言葉が突っかかったのか、表情が無表情に戻った。
「テツは?選手だよね?」
「えぇ…」
今の一言が気に入らないのか、少し暗い。
「…ふふふっじゃあマネージャーになろうかな♪」
「え…?」
「私が好きでやりたいなーって思ったの!」
彼の驚いた表情の後にそう告げれば嬉しそうな表情を見せた。
「明日部活の入部届け貰いに行きましょうか!」
「そうですね。」
十分に部活見学をし、体育館を後にした。
ぐぅぅう…
「そういえばご飯食べてないね〜」
「そうですね…」
同時に二人のお腹の音がした。
「あ、ねぇ!テツはこれから暇?」
「ええ。」
じゃあ!!
「もしよかったら一緒に食べない?」
「…え?」
帰り道が同じということで一緒に歩いていたとき、私からした提案。
「どうする?」
「じゃあ…いいですか?」
「うん!1人で食べるより断然楽しいしね!」
「…1人?」
本人は声に出したつもりはないらしいけど…やっぱり気になるよね。
「じゃあうちに行こう!」
「ですね。」
このことは後で話すことにして取り敢えず家へと足を向けた。
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