部活見学
あれから午前中が終わり、放課後になった。
「テツ―!行こうよ!」
「はい。」
部活見学が楽しみで準備を素早く済ませた私はテツの席まで駆け寄った。
「…何処から行きますか?」
テツの支度が終わったようで、一緒に教室を出た。
廊下を歩きながらそう尋ねられたので、私は思わずクスクスと笑ってしまった。
「…バスケ部、行きたいんでしょう?」
「え…?」
だってずっと学校案内のバスケ部の所を見てるんだもの。
あ、ちなみに学校案内は入学説明会の時にもらったもの。
「ポーカーフェイス、私にはあまり意味を成さないのよ。
…それで?行くの?」
「…はい。」
「じゃあ行こうか!」
この時ウキウキだった私は気づかなかった。
「…僕はあなたのポーカーフェスを見破ることができませんよ…」
と彼がつぶやいていたことを。
「テツーここみたいだよー!」
あれから先生に怒られながらも走って体育館へと来た。
クルっと後ろを向いたらテツがいなかった。
「…あれ?テツ?」
私がそう呼んだと同時に物陰から息絶え絶えな彼が現れた。
「ハァハァ…美影、早いです…僕、体力ないんですよ…」
「あー…ごめんごめん!落ち着いたら中に入ろうか!」
「…ですね。」
…バスケ部に入りたいみたいだからてっきり体力あるものって思ってたんだけど…見当違いだったみたいね。
彼の呼吸が落ちつく間私はずっと彼のことに思考回路を持って行かれていた。
「…行きましょうか。」
「落ち着いたの?」
「はい。」
多少顔が赤いがきっと走った所為というのはわかったので彼の言葉通りに私は体育館へと足を踏み入れた。
「うん!よし!レッツゴー!」
「バスケ部の見学の子かな?」
「はい!」
「はい。」
「じゃあ二人ともこっちね!」
「!」
バスケ部のマネージャーであろう先輩が体育館のギャラリーに私たち見学者を誘導していた。
「…きっと美影の持ってる存在感が僕にも映ってるんでしょうね。」
「?…何か言った?」
傍でテツが何か言っていたけど聞き取れず、もう一度聞き返すと「いいえ。」と綺麗な笑みで返ってきた。
「…!!!///そっか…!」
何故かその表情にドキッとして目をそらすようにギャラリーから男バスの練習風景を見ていた。
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