入学式翌日
家に着き、ご飯も食べぬままゴロン、と横になった。
明日からのことに期待を膨らませながら眠りへと吸い込まれた。
今日までの準備で数日、ろくに寝れていなかったのが祟ったのか起きたときは起きるのには少し早い時間程度の朝だった。
今日はまだ午前授業。
だからお弁当はまだいらない。
鞄に詰め込むだけで私はこの誰もいない家を出た。
私のクラスは1-A。
仲のいい友達なんて誰一人いない。
私はここを受験したんだから。
「…友達、できるといいんだけど…」
あの頃の二の舞踏みたくないし。
「えっと…確か私、ここだったよね。」
教室へと足を踏み入れるとポツン、と誰か1人座っていた。
「(はやいなぁ…)」
感心しながら私は席に着いた。
「ねぇ、」
「…。」
「ねぇってば!!」
「…僕ですか?」
ここには私と彼しかいないのに他の誰にどう声をかけようというのだ?
「…君以外にここには私しかいないんだけど?」
「…そうですね。」
何か用ですか?と尋ねて来た彼に私はんー…と曖昧な返答をした。
「用、ってほどでもないんだけど…名前、何ていうの?
私は虹野美影。宜しくね。」
「黒子テツヤです。宜しくお願いします。」
「…それ、標準?」
「…"それ"とは口調のことですか?」
「うん。」
「そうです。」
「ふーん…」
「美影さんはd「そのさん付けやめてくれない?呼び捨てでいいよ」…美影は何処か部活に入る予定はあるんですか?」
私がすかさず訂正をいれ、さん付けをやめさせた。
「んー…まだ決めてないかな〜…」
「よかったら一緒に見に行きませんか?」
「いいの?じゃあ一緒に行こう!」
「はい、」
しばらく話していると教室に生徒が入ってきた。
そこで私たちの会話は終了した。
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