翌日
あれから僕は気になって帰りに彼女を見つけたとき、敢えて前を横切りました。
一瞬、たった一瞬見ただけなのに彼女に吸い込まれるように僕はあの時の映像と重ねていた。
多分、彼女だ。
そう思ったら明日からの学校生活が楽しみになってきた。
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しばらくは午前中で授業が終わるのでお弁当も必要ない。
今日必要なものを鞄に詰め込んで家を出た。
僕のクラスは1-A。
仲のいい人なんていません。
僕はバスケをしたい、と思ってここへと入学したのですから。
さすがに朝早すぎるのか、教室へと行くと誰もいなく職員室まで鍵を取りに行った。
取りに行って戻ってきても誰もいなく、教室へと1人入った。
「えっと…確か私、ここだったよね。」
あれから30分くらいは経ったのでしょうか…教室へと誰かがそう呟きながら入ってきました。
すると入ってきたのは昨日僕が見つけたあの時の少女だった。
そういえば同じクラスだったな、と思考回路をさまよっていると突然彼女から声をかけられたのです。
「ねぇ、」
「…。」
「ねぇってば!!」
「…僕ですか?」
僕がそう尋ねれば彼女は驚いた表情を僕に向けてきました。
僕の影の薄さに気が付いていないのでしょうか…?
「…君以外にここには私しかいないんだけど?」
「…そうですね。」
何か用ですか?と尋ねてみると曖昧な返事の後に答えが返ってきました。
「用、ってほどでもないんだけど…名前、何ていうの?
私は虹野美影。宜しくね。」
知ってます。新入生代表の挨拶の時に。
「黒子テツヤです。宜しくお願いします。」
「…それ、標準?」
「…"それ"とは口調のことですか?」
「うん。」
「そうです。」
「ふーん…」
僕の丁寧語な話し方が気に食わないのか、つまらなさそうにうなずかれた。
「美影さんはd「そのさん付けやめてくれない?呼び捨てでいいよ」…美影は何処か部活に入る予定はあるんですか?」
名前をさん付けで呼ぼうとすれば彼女に言葉をさえぎられて訂正された。
女性の名前を呼び捨てで呼ぶなんてことしたことないですしね。
ちょっと緊張します。
僕はバスケ部に入るつもりですが彼女は何か決まっているのでしょうか?
「んー…まだ決めてないかな〜…」
「よかったら一緒に見に行きませんか?」
僕の誘いに彼女は少しためらったものの、すぐに了承してくれた。
「いいの?じゃあ一緒に行こう!」
「はい、」
その後もお互いのことを話していましたが、教室にぞろぞろと入ってきたのでそこで終了となりました。
ただ、気になったことが一つ…
彼女は僕が"バスケ"と単語を出した途端一瞬表情をゆがめました。
ほんの一瞬なので僕も人間観察をしていたからこそ気づけたことなのではないかと想います。
…彼女は何か抱えているのでしょうか?
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