部活動見学1
あれから午前中が終わり、放課後になった。
「テツ―!行こうよ!」
「はい。」
僕よりも先に準備を済ませてしまったようで、美影は僕の席まで寄ってきた。
僕も急いで準備を済ませ、彼女と教室を出た。
「…何処から行きますか?」
廊下を歩きながら美影に尋ねれば、クスクスと笑われた。
「…バスケ部、行きたいんでしょう?」
「え…?」
「ポーカーフェイス、私にはあまり意味を成さないのよ。
…それで?行くの?」
「…はい。」
「じゃあ行きましょうか!」
そういって僕の隣を離れて先に進んでいく。
…あなたのポーカーフェイスは逆にすごいです。
「…僕はあなたのポーカーフェスを見破ることができませんよ…」
そして彼女を追いかけた。
「テツーここみたいだよー!」
あれから結局追いつかず、僕は体育館の前で美影が立ち止まるまで必死に走って追いかけた。
「ハァハァ…美影、早いです…僕、体力ないんですよ…」
「あー…ごめんごめん!落ち着いたら中に入ろうか!」
「…ですね。」
僕が体力がないことを言えば彼女なりの気遣いなのか僕が落ち着くまでその場で一緒に立っていた。
「…行きましょうか。」
「落ち着いたの?」
「はい。」
「うん!よし!レッツゴー!」
テンションの高い彼女は何処からどう見てもバスケが好きそうで仕方がない、といったように見える。
だけどこの間見た表情はバスケに関することだと直感で感じ取れた。
「バスケ部の見学の子かな?」
「はい!」
「はい。」
「じゃあ二人ともこっちね!」
「!」
僕のことが見えているなんて…
大抵誰の隣にいても僕は気づかれにくい。
なのに…彼女の横にいると僕の存在が必ずある。
「…きっと美影の持ってる存在感が僕にも映ってるんでしょうね。」
「?…何か言った?」
「いいえ。」
そういって僕は微笑んだ。
「…!!!///そっか…!」
そして誘導されたギャラリーから男バスの練習風景を見ていた。
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