寂しがり屋の君へ
「え…?」
最初は何を言われているのか分からなかった。
否、理解しようとしなかった。
初めてそんな温かい言葉を貰った。
「昨日僕に言わなかった事ってその事だったんですね。」
テツが彼のお母さんに言うと彼女は笑顔を浮かべていた。
それは肯定と取れた。
「…………して」
『え?』
「どうして?どうしてそんなに優しくしてくれるの?
私にそんなこと受け取る資格なんかないよ…!」
余りにも温かい彼らの言葉。
でも私にとっては初めて感じることで…
どうすればいいのかさえ分からない。
「だって私は…っ!」
「"いらない存在だから"…ですか?」
「っ!!!!」
テツが核心をついてきた。
事実、彼が言ったことは当たっている。
彼に話したことだけでも推測すれば簡単に辿り着くこと。
「簡単です。あの話を聞いただけで、それにあなただって言っていたじゃないですか…。」
「ち…うの…」
「え?」
「違うの…おとぅ、さんと…ぉかぁ、さんが…」
「…直接言われたのね…」
その時のことを思い出した途端、涙があふれた。
テツは最初ギョっとしてその後私の背中をさすってくれた。
テツのお母さんは私の言葉の続きを聞くまでもない、とでもいうかのように言った。
「ぉと…さんも…かぁさん、も…いらな、いっ…て……」
「美影がいらない存在なわけないです!!少なくとも僕にとっては傍にいてほしい存在です!」
テツのその温かい言葉に私は涙腺が崩壊し、涙がとめどなく流れて止まらなかった。
「!!っ〜〜〜テッちゃ…っ!!!」
自身の後ろにいるテツに思わず抱きついてしまった。
「っ!!!///…!…大丈夫ですよ、美影には僕が必ず傍にいますから…」
カタカタと震えているのが伝わってしまったのか、彼の言葉が心にさらに染み渡った。
「…………す。」
『え?』
「…一緒がいいです、テツの傍にいたいから…一緒がいいです…」
テツに抱きついたまま私はそう告げた。
『…今日から家族です/よ』
彼らの表情は抱きついている私には分からなかったけど、とても優しい声色だったのがとても印象的だった。
優しくテツが私の頭を撫でてくれているのが心地良くて私はそのまま意識を飛ばした。
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