〈 赤司征十郎の場合〉


「征ちゃん」

美影の部屋のソファでくつろぎながらテレビを見ていた。

「なんだい?」
「今年は誰が新人賞受賞するのかな?」

今年も残り僅かとなった今日、年末特番のレコード大賞を赤司に抱えられて抱きしめられながら見ていた。
そんな中ふとそう言った。

「…近年は俺も知らない人ばかりが受賞しているからな。」
「今年ノミネートされた人たちも全く知らなかった…」
「最近は様々なアーティストが芸能界へ飛び込んできているからここで初めて知る人が多い。」
「お母さんが言ってたけどね、昔みたいにすればいいのにね、って。
昔がどんなだったか知らないから何も言えなかった。」
「まぁ、そういうものだろ。」

微笑ましく2人で語り合っていた。

「私にはね、征ちゃんが私の傍にいてくれればいいなぁって思った。」
「…なんだい?急に。」
「私が好きなアーティストが予想外に出てて嬉しかったけど、こうやって二人で過ごす時間が胸をポカポカにしてくれるなぁと思って。」
「……可愛いやつだな。」
「思ったことを言っただけだよ?」

キョトンとした表情で赤司の方を振り返ると、チュッと唇にキスを落とされた。

「…来年もいい年になればいいね。」
「そうだな。」


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