君の幻に触れる
部活が終わり、自宅へ帰ってきた。
夕食や風呂を済ませ、後は寝るだけとなったとき、ふと部活の休憩中に話していたことを思い出した。
普段の自分なら気にも留めないことだが、こう何度も思い出してしまう自分に疑問を持った。
気になっているのかと言われれば、そうなのかもしれない。
その程度だ。
取り敢えず、パソコンを立ち上げ『蒼依』と検索をかけた。
彼女は余程有名なのかすぐに見つかった。
ヘッドホンを耳にし、彼女が歌っている曲をかけた。
(イメージ曲:夏の幻/GARNET CROW)
凄いと思った。
年齢はきっと僕たちと変わらないくらいだと思う。
その年齢で作詞作曲をここまで完璧にしてしまうのは並大抵の実力じゃない。
他にも彼女の曲を聴いた。
新曲という『夢みたあとで』も聴いた。
「すごいな…」
素直に褒める言葉が出た。
この"僕"が人を褒めるというのは珍しいと思う。
流石の僕でも作曲となると完璧にはこなせない。
きちんと学んだわけじゃないからね。
暫く曲を聴いていると、彼女が自身のサイトを運営しているのを知った。
小さくURLが載っていたのを見つけ、クリックしてみると、彼女のサイトだった。
プロフィールをみると、どうやら彼女は同い年らしい。
もしかしたら彼女を見つけることができるかもしれないと思った。
「…なんでそんなことを思ったんだ?」
見つけたところで何かしたいわけでもないのに。
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