気になった瞳




「赤司、頼まれてくれないか?」
「構いません。」


4限の授業が終わった後、担任に呼ばれて職員室へと向かえば編入生の案内を頼まれた。
どうやらその子は中学を卒業して半年間は外国にいたらしい。

そこでもし、英語で話し始めた時すぐに対応できるであろう僕に目を向けたようだ。

その編入生は明日から来るということで僕は詳細を聞いて職員室を後にした。

レオたちには前もって連絡しているから今日の昼食は1人でとることになりそうだ。








「…え?ここ何処…」

翌日、朝練を終えて教室棟へと向かっていると見慣れない女子がいた。
昨日言っていた編入生かと思い声をかけた。

「何をしているんだい?」
「…迷子になったんです。」
「…迷子、かい?」

訝しげに彼女の顔を見れば彼女は付け足して話をした。

「私、今日から編入してきたんです。だから分からなくなって…」

その言葉に「じゃあ丁度良かった。」と言えば今度は彼女が訝しげな表情を僕に向けた。

「…どうして?」
「僕が君の案内役を任されたんだ。」
「そうなんですか…」

初対面だからか緊張した表情が抜け切れないが、少しだけ安堵の息を彼女は
漏らした。

「自己紹介がまだだったね、僕は「赤司征十郎くん、ですよね。」!!…あぁ。」

自己紹介をしようとしたら彼女は僕の名前を知っていた。
そこは別に驚きはしない。
僕の名前を彼女が口にしたとき、彼女の目に光がなかった。
絶望とはまた違う…
突然変わった彼女の表情に僕は驚いた。

「私は沖田翡翠です。」
「よろしく」
「宜しくお願いします。」

すぐに元に戻ったが、僕は彼女のその目が忘れられなかった。




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