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総司side
「近藤さん、美影も一緒じゃダメですか?」

土方さんから許可が降りて彼の部屋から退出して廊下で僕が近藤さんに聞けば、僕の問いかけに一度近藤さんの表情が固まったけど、その後困った表情を浮かべながら僕に言った。

「すまんな。彼女はちょっと外せないらしくてね。」
「……そうですか。」

近藤さんは新選組局長でとても忙しい人だからこうしてゆったりとしていることは珍しい。
だから、近藤さんを敬愛してる僕や美影だったらこんな機会仕事を放棄してでも一緒に近藤さんの側に居ると思うんだけど………。

「どうしてもと言っていたのでな。」と近藤さんに言われれば僕も納得するしかない。

「近藤さんはどちらに行きたいんですか?」
「む?うーん…総司好きなところでいいぞ?」
「じゃあ僕のおすすめの甘味処に行きませんか?」
「あ!い、いや!甘味処ではなく…!」
「近藤さん?」
「そ、そう!女の子の小物が売ってる所に行かないか!?」

焦った物言いの近藤さんに疑問は持った。

「…近藤さん、今日は何日ですっけ?」
「ん?今日は如月の十余り四日ではないか?」
「…(ボソッ)なるほどね。」
「それがどうしたのか?」
「いいえ。行きましょう?」

近藤さんがどうして僕だけ連れ出したのか。
それは今日が美影曰く【ばれんたいんでー】というものだから。
さすがの僕も毎年毎年だと日付だけでピンときちゃうよね。
だから近藤さんは僕が甘味処って言ったら焦ってたんだ。

じゃあ、僕も何か美影に贈り物でもしようかな?
小さい頃に聞いたこの異国の風習。
異国では女からじゃなくて男からもあげるって聞いたしね。
彼女に似合うものを探しに行こうかな。

「近藤さん、美影に似合うものを探したいんですけど、いいですか?」

僕がそう言えば近藤さんはいつも浮かべているおおらかな笑顔で「勿論だとも!」と言った。

それから僕らはあーでもない、こうでもないと悩みながら美影への贈り物を探し回った。
久しぶりに近藤さんと過ごせて嬉しかったけどやっぱり美影も居ないとちょっと物足りない。
出かけるなら三人がいいなって思った。

総司side end

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テーマ「人外ファンタジー」
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