06



病室棟に美桜花が移され、彼女が目を覚ますまで俺たちは来れる限り、顔を出した。

彼女はなかなか目を覚まさなかった。

時間ができても面会時間外だったりと会えないときもあったが、それでも彼女が目を覚ましてくれることを願っているからそんなことで落ち込むことなんてなかった。








ガラガラッ

「…しつれーしまぁーす…」


たまたま今日は一日オフでオレは面会時間の開始時刻から美桜花の病室に訪れていた。
一応の配慮で、美桜花の病室は芸能人とかが使うような個室にしてある。


「…早く目を覚ましてよ、美桜花…。」

そしてそっとキスをするんだ。
これは俺が来るたびにしていること。
早く目を覚ましてほしい、という願いを込めながら彼女の唇に俺のを落とすんだ。


「…んっ…」


ピクッと指が動いたと思ったらゆっくり目を開けた美桜花。


「…!!!美桜花!!!」

俺は急いでナースコールを押した。

「…ここは…」
「病院だよ。」

目覚めたばかりでポーっとしている彼女の問いに答えた。

皆に彼女が目覚めたことを連絡しようと携帯を開いた。


すると彼女からの視線を感じ、視線を上げると不安げに揺れた目とぶつかった。


「…どうしたの?」




この時の俺は軽率だったと思う。

次の言葉で、絶望に浸らなきゃいけなくなるなんて思いもしなかった。















「…あなた、だぁれ?」




















「え…?」



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