あとがき


 『ever blue』をここまで読んでくださりありがとうございます。続きから夢主たちのデフォルトネームが出てきますのでご注意ください。

 シンオウ地方の過去の世界であるアルセウスというゲームが発表されたときから「デンジとレインがヒスイに迷い込む話を書きたいな」とぼんやり思ったのが始まりだったと思います。あのときは時空の歪みの情報はまだでしたが、シンオウには時空の神がいるのでトリップものはなにも不自然じゃないんですよね。
 それにギンナンさんの情報も出ていなかったので、危険な世界を二人が冒険する物語をただ書きたいと思ったんだと思います。それがどういうわけか、デンジの祖先であると思われるギンナンさんの登場により話の内容は膨れ上がり、スピンオフとしてギンナンさん夢まで誕生することになったのですが……結果として、自分の中でshineシリーズをさらに深く掘り下げて書くことができて楽しかったです。

 今回は恋愛要素は薄く、レインがヒスイで生きる様子を描くことに力を入れたつもりです。今までのポケモンと違った世界観なので書いていてとても楽しかったですね……! あとは、ヒスイ地方とギンナンさんたちの解釈を自分なりに表現したかったと言いますか……。
 土地的にナギサシティは群青の海岸の海辺ベースが元になったんだろうな。群青の海岸のイチョウの浜辺とイチョウ商会は関わりがあるのかな。イチョウ商会はヒスイの外から来たみたいだから、もしかしたら群青の海岸の朽ちた船に乗ってきてイチョウの浜辺にたどり着いたのかもしれない。そして、ギンナンさんの子孫がいずれ海辺ベースが発展したムラに住んで、ナギサシティとデンジに繋がるのかな。ナギサシティのナギサ市場はイチョウ商会の名残だといいな……というのが私の解釈です。
 デンジがナギサシティにいるので、ギンナンさんもしくは彼の子孫がヒスイに定住することになったのは確定と思われますが、他は推測の域ですね。

 ギンナンさんとルテアの間には二人子供がいるので、それぞれ枝分かれして150年の時を経てデンジとレインに繋がったらいいなと。150という数字はふわっと考えてもらえたら……明治時代が150年ほど昔なので話の中でも出したのですが、フィクションだし公式からは何も明言されていないので、感覚として捉えていただけたら幸いです。我が家はレインとゲンさんがアーロン様の子孫という設定もあるので、家系図が複雑になりそうですね。

 ギンナンさんとルテアに関してはスピンオフの『金色の雨』を合わせて読んでいただけると二人の関係がわかりやすいかなと思います。ギンナンさんの情報が本当に少なくて、主要人物として発売前から紹介されていた割に蓋を開けたらカラクリを売っているだけのモブ寄りのキャラなので、私が書いているギンナンさんはすべて妄想です。公式に忠実に描くも何もあったものではないので、それなら自分の好みに物語を書いていったらこうなりました。ギンナンさんやイチョウ商会のみなさんの手持ちだって、いろんなところからかき集めた情報をもとにした妄想なので……
 『キャラや原作へのリスペクトを忘れず自分の好きを形にする』がモットーなので、私の幻覚に付き合ってくださり好きだとメッセージまでくださった方には感謝しかありませんね……

 当初、ルテアはリングマに襲われたときに死なせるつもりでしたが、怪我をさせるにとどめました。ズリのみを使ってリングマをそそのかして生まれ育った集落を滅ぼしたことがある女なので、因果といいますか、報いのつもりで。でも、ずっと書いてきた子を死なせるのも苦しかったし、ギンナンさんを悲しませたくもなかったので、最終話の流れになりました。

 あとがきに何を書いたらいいかわからなくなってくるほど、予定より長い話になってしまいました。予定も何も、いつもどおり書きたいシーンだけメモをしていた見切り発車なのですが……中編程度で終わらせるつもりだったんですけど、あれも書きたいこれも書きたいと思ったらダラダラと伸びてしまいましたね。結果的に鍵付きの話を含めて約11万7千字で着地でした。でも、もう一つ鍵付きの話を書きたいので12万字くらいになりそうですね……? 文字数は多ければ多いほど良いという話でもないのですが、頑張った証にはなるのでとりあえずお疲れ様自分、という感じです。

 最後に、タイトルの『ever blue』は群青の海岸の海のことを指しているふうにしたかったので、今回は22話目で連載タイトルを回収できたかなと自分の中では思っています。そして最終話といいますかエピローグ的な23話の『拝啓、150年後のきみたちへ』は初期に考えていたタイトル案ですね。レイン視点の連載なのにこれだとギンナンさんとルテア視点のようだ……と思って変更したのでした。

 そして、執筆中の脳内BGMは『金色の雨』のあとがきでも書いた『語り継ぐこと』です。デンジとギンナンさん、レインとルテアに限らず、現代キャラの面影が残るヒスイのキャラたちを見ていると「ああ、繋がっているんだな」と感じられて胸に残るいい曲なので、ぜひ聴いてみてほしいです。

 相変わらずあとがきが長い! ダラダラ書いていても仕方ないのでこの辺にしておきますね……! ヒスイの話は引き続き『秋時雨』で思いついたものを短編として書いていこうと思うので、お付き合いくださる方はぜひ。pkmnの連載としてはいろいろ書きたいものはあるのですが、まずはダイパリメイク記念の『snow light』を終わらせたいと思います。あちらはデンジとレインの子供が別世界のデンジとレインに出会う話なので、この連載と少し似ているところがあるなぁと思ったり。

 では、ここまで読んでくださりありがとうございました!


 
詩 2022.02.07〜2022.06.06



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