あとがき


 『金色の雨』をここまで読んでくださりありがとうございました。無事に完結することができてとりあえずホッとしています。以下、夢主のデフォルト名が出てきます。自分自身のメモも兼ねているので長いです。お時間のある方はお付き合いください。

 ギンナンさんを初めて見たとき「デンジの祖先だ……確実に沼る……」と思ったのですが、そのとおりになりましたね……。デンジの祖先というフィルターを除いても、素晴らしいキャラデザや立ち位置のキャラクターですし、きっと好きになっていただろうなと思います。モブ寄りにしておくのが本当にもったいないんですよ……台詞もほぼ定型文なので、我が家のギンナンさんは捏造しかありません。でも、好きと言ってくださったりここまで付いてきてくださった方がいることは事実なのでとてもありがたいですね……私の幻覚を吸ってくれてありがとうございます……。

 夢を書くにあたってどんな話にしようかなと思いましたが、ヒスイ地方という今のポケモンとは一味違う世界観を活かしたいなと思いました。野生のポケモンは容赦なく襲ってくるし、公式で村を焼かれ仲間をポケモンに殺されたという描写が入るくらいだから、過酷で残酷な世界であることは間違いないので。そこに、我が家のオリジナル設定といいますかshineシリーズの設定(波導使い云々)などを絡めて、夢主ルテアの物語が誕生しました。
 時代は日本の明治時代を意識して書いてはいますが、フィクションかつファンタジーですし、自分が生きていない時代のことを詳しく書くのは難しいので、いろいろとふんわりと感じていただけたら幸いです。あの時代の庶民のお風呂事情や人身売買事情ってどんなだろう……。

 普段連載を書くときって見切り発車が多いのですが、全10話くらいでまとめようと思っていたので今回はプロットのようなものを作りました。出会い、距離があるときの態度、心を許し始める切っ掛け、(大人の男性への憧れに近い)恋心を抱くようになったところなど、ギンナンさんとルテアの距離の詰め方には気を付けたつもりなので、注目していただけたら嬉しいです。他にも、迫害されている割にルテアが相応に成長している理由や、イチョウ商会から買っていたズリのみが後にどのように使われたか、薄い色の着物が最後はどんな色に染まったか、ギンナンさんがルテアのルーツにロータ地方があると見抜いたあとの行動など、自分なりに繋げたところなので気付いていただけたら嬉しいです。

 普通の大人ならルテアみたいな境遇の子供がいたら同情したりあわれんだり、手を貸してあげたいけど自分ではどうにもならないと歯がゆくなるのかなぁと思うのですが、ギンナンさんはそれがより強かったといいますか。ゲーム内でもウォロさんが好きにしてるのに強く言っているイメージはないというか、自由にさせているイメージが強いので、器が大きく懐が深く面倒見が良いイメージがあるんですよね。だから、一度手を伸ばしかけたからには最後まで責任を持って救い出してくれるのかな……と思っています。助けるつもりがないなら捨て猫を可愛がるなということになりますからね……(?)

 他のpkmnシリーズと比べて、時代背景的にも当社比で暗い話になったかなと思います。もともとCLAMPに育てられた人間なので地獄が好きなんですよね……そしてそのあとのハッピーエンドがたまらなく好きです。今回は、ハッピーエンドとは言い切れないというか、少し後味の悪さというか、スッキリしない終わり方になっていると思いますが。
 レインとシャインは中立の属性といいますか、相手に影響されて染まるタイプなので、二人とも善寄りにはなっています。デンジもアーロン様も善ですよね……デンジは停電にはさせますし(そしてレインはそれを肯定する)、アーロン様は自己犠牲の末に逝きますが(だからシャインも自己犠牲が伴う生き方しかできない)。
 でも、ルテアは連載の中のことがトリガーになって悪が目覚めたといいますか、自ら悪を振りまきながら生きる『化け物』になってしまったイメージです。レインの過去もどちらかというと重いけど、デンジという存在にたくさんの幸せをもらってから過去を知ったので、受け入れることができたのかなと。ルテアはギンナンさんと別れたところでさらに追い打ちをかけるように……という状態だったので、一気に心がどす黒くなったのですね。このことがあって、アルセウス時間軸でもルテアの台詞は他キャラよりもひらがなが多めです。不気味さが少しでも出るかなと思って……。
 はじめはどこかでリオルも犠牲になる予定でしたが……リオルがかわいそうでできませんでした。

 不気味といえば、文字化けとひらがな台詞のところが好評で安心しました。初の試みだったし、当サイトの雰囲気とはガラリと変わる話だったので一応注意書きも入れていましたが、閲覧数も変わらずでほっ……。

 最終話でルテアが過去のことを本当に忘れているのか、それとも覚えているけど忘れたふりをしているのか。それはご想像におまかせしますし、ルテア自身もわかっていないかもしれません。ギンナンさんはそのすべてを察してルテアの罪を隠して連れ去ってくれた……同じ罪を背負った関係で、だからこそ愛情の注ぎ方がデンジとも違うというか、ひたすら木綿のような柔らかさで包んで可愛がる感じなのかなと。当サイトの二人はこんな感じです。これを踏まえて他の話(ever blueや秋時雨)を読んでいただくと、イメージが変わってくるかもしれません。
 ただ、ルテアが人殺しである事実は変わらないので、いつか天罰を下したいですね。

 ギンナンさんとルテアはデンジとレインの祖先のつもりで書いてはいますが、公式から正式な言及はないので、そこはぼんやりしてもいいかなと。明治から現代まで間が空いているなら、たぶん血の繋がり的にはいけると思います……(?)我が家のゲンさんとレインも、辿っていけばアーロン様とシャインにたどり着くので、家系図が複雑ですね……まあふわっとした設定なので……(?)

 最後に、この連載を書く時にずっと脳内BGMにしていたのがあにーさんの『千切れる群青』です。イメソンですね。他にも元ちとせさんの『語り継ぐこと』はギンルテからデンレイに繋がるイメージだし、鬼束ちひろさんの『眩暈』はギンルテのイメージだし、仕事してPさんの『番凩』も集落を滅ぼしたルテアの手を取って連れ出してくれたギンナンさんのイメージがあります。
 タイトルの金色の雨は、イチョウの葉がひらひらと落ちてくる様子をイメージして付けました。ルテアにとって、ギンナンさんから手を取ってもらったときに見たこの景色は生まれてから一番美しく思えた景色じゃないかなと。他の話のタイトルも色縛りにしています。呉服屋などで見られる今作の色の表現がとても美しかったので……。

 ギンナンさんの連載はいったん終わりますが、ギンナンさんはever blueにもまだまだ出てきますし、短編もたくさん書いていきたいので、これからも書き続けます!デンジやヴィルさんの連載部屋を見たら分かる通り、一度沼に入ったキャラは飽きることを知らずひたすらに話が増えるので(特にデンジがわかりやすい)、ギンナンさんもそうなるかなと。

 最終話より文字数が多くなってしまいましたね……!ちなみに、全体では約53000字でした!ここまで読んでくださりありがとうございました!



2022.02.07〜2022.04.24 詩


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