目覚めたとき瞳に映るのが私でありますように


 甘い戯れのあとの心地よい気だるさと、日だまりに抱かれるような温もりに包まれて、とくん、とくん、と一定のリズムを刻む音を聴く。胸にすり寄ると、もっとよく聴こえてくる。まるで雨音を聴いているように安心する、デンジ君の心臓の音。私の髪をくすぐる寝息さえも酷く恋しくて、顔を上げて真っ白な額にキスをする。月明かりに光る金の髪も、血管が透ける薄い瞼も、スッと通った鼻筋も、整った薄い唇も、どこを切り取っても愛しさしか浮かばない。
 ただ、眠っているときは大好きな瞳が見られないのは少しだけ残念だけれど。その海のような蒼い瞳が、明日も、明後日も、一年後も、十年後も、それよりずっと遠い未来も、私を映し続けますように。

「デンジ君、だいすき」
 
 デンジ君からもらったたくさんの愛を思い返しながら、私は瞼を落とした。
 今日も一日、貴方のことが大好きでした。きっと、明日はもっと、貴方のことを好きになる。



2023.06.11



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