3.座談会にドッキドキ!


──黒鋼先生編──

侑「さあ。いよいよお待ちかねの、先生達へのお手紙を紹介するわよー」

ソ「わーい!」

ラ「先生達の秘密、だいこうかーい!」

侑「一人目は体育教師、黒鋼先生よ」

フ「ひゅー。黒たんせんせー」

ソ「黒たん先生ー」

黒「うるせぇ!くそっ。何で俺がこんな事……」

侑「つべこべ言わずにちゃっちゃか答える!いくわよ。『窓から出入りする決まりについてどう思いますか?』」

黒「こんな決まりを作ったやつの顔が見てみてぇなぁ?理事長」

侑「あら。緊急時には仕方のない事よ」

フ「オレも利用してまーす」

レ「実は私も……授業に遅れそうな時とか、近道するのに便利だし」

黒「こんな教師ばかりで、生徒が真似しだしたらどうすんだ」

四「たぶん、もう遅いですよ」

黒「あぁ?」

百「最近は生徒でもいますからね。窓から出入りするやつ」

黒「ほらみやがれ!」

侑「良い傾向じゃない」

黒「んな訳ねぇだろ!!」

ユ「意外と、黒鋼先生は常識人なんだね」

龍「ええ。意外と」

黒「意外と、はよけいだ!」

侑「そろそろ次ねー。あら、面白そうな質問。『恋人や好きな人は居ないんですか?』」

ソ「きゃー」
ラ「わぁー」

黒「……」

さ「わたしも気になります」

ひ「黒鋼先生、どんな女の人が好きなのかな」

四「おれのイメージでは、長身の綺麗な大人の女性がお似合いな感じ」

百「ああ。何となく分かる」

黒「……」

フ「黒たん先生ー?」

レ「早く答えて下さいよっ」

黒「知らねぇのか?人間は平等に黙秘権を持ってんだぞ」

龍「言いたくないんですか?」

ユ「それとも、言えない相手なのかな?」

侑「そうねー。黒鋼先生の場合、言っちゃったら相手も困るかもね」

黒「ちょっと待て!知ってんのか、理事長!?」

侑「うふふ。学園内の情報で、あたしが知らない事はないわ」

黒「!!」

レ「相手が困っちゃうなら、無理に聞けないですね」

フ「まぁ、黒たん先生にも相手がいるって分かったし、ちょっとほっとしたよー」

レ「いつか聞かせて下さいね。その人の事」

黒「……少なくとも、あと1年以上はかかるけどな」

侑「うふふ。確かにね。じゃあ次。『自分が一番得意な体育の競技はなんですか?』」

黒「武道系だな。特に剣道」

小「黒鋼先生、剣道は段も持っていらっしゃるんですよね」

黒「ああ」

龍「見本見せて下さる時、型がすごく綺麗ですよね」

黒「小狼と小龍も、体育の成績は元々良いが、剣道はずば抜けて良かったぞ」

小「有り難うございます」
龍「有り難うございます」

さ「逆に、苦手はあるんですか?」

黒「強いて言うなら球技だな」

フ「黒たん先生、団体競技は無理そうだもんねー」

レ「ああ。バレーとかバスケとか?」

フ「バスケとか、一人でボール持ってがんがん進みそうだもんー」

黒「うっ……」

百「図星なんですね」

さ「でも、その方が黒鋼先生らしいです」

侑「確かにねー。次の質問よ。『学生時代の得意科目はなんですか?』」

黒「当然、体育だ。大学もそっち系統に進んだしな」

フ「ってか、体育以外は全部苦手だったりしてー」

黒「んな訳あるか!!」

ひ「他は何が得意だったんですか?」

黒「……保健体育」

小「それって、体育に入らないんですか?」

黒「う……」

フ「いやー、天然って怖いねー」

ユ「思った事を素直に言っちゃうからね」

侑「まあ、この辺にしてあげましょ。次よ。『給料はいくらですか?』」

黒「なんて質問だ……」

四「興味あるなぁ!先生達の給料」

ソ「どのくらいー?」

黒「さすがに金額は言えねぇだろ」

ラ「じゃあ、他の先生と比較したら?」

黒「理事長よりは少ない」

ソ「ずるーい!そのくらいモコナ達にも分かるよ」

黒「いいだろ。次」

侑「最後よ。『授業を受けるとしたら誰の授業を受けたいですか?』」

黒「調理実習だな」

ユ「え?オレの授業ですか?意外だなぁ」

黒「古典と化学は教師に問題がある。音楽なんか、唄えねぇし弾けねぇ。消去法だ」

ユ「なるほど」

レ「確かに。黒鋼先生がピアノの前に座ってるとこなんて、想像出来ないもん」

フ「ひどーい。オレ、ちゃんと授業してるのにー」

侑「黒鋼先生にはお仕置きを与えましょう。職員室前のトイレ掃除、1週間」

フ「さんせーい」

黒「なんだそりゃぁ!!」

侑「はい。じゃあ質問してくれたみんなに一言」

黒「流すんじゃねぇよ!くそ……たくさんの質問、感謝してる。2つ目の質問がかなり気になるがな……」

さ「黒鋼先生の大切な人、ほんとに誰なんだろ……?」



──ファイ先生編──

侑「さあ。次は誰にしましょうかねー」

フ「オレオレー」

侑「じゃあ。希望に答えてファイ先生ね。『レン先生との同棲生活はどうですか?』」

レ「いつかは来ると覚悟してたけど、最初からこんな質問!?てか、別に同棲な訳じゃ!」

ユ「『教師同士が交際をする場合、職員宿舎は同室とする』っていう、決まりだっけ?」

レ「そうなんです!意味が分からない規則でしょ!?」

侑「意味が分からなくないわ。お互いを身近に感じ、距離を深める為の素敵な決まりじゃない。さ、ファイ先生。レン先生との付き合いはどんな感じなの?」

フ「えー。照れちゃうなぁ」

ひ「でも、ファイ先生なんだか嬉しそうですよ」

フ「そりゃあねー。じゃ、思う存分ノロケを……」

レ「ちょっと、余計な事は言わないで下さいよ!」

フ「はいはい。で、何を話せばいいかな?質問が漠然だから、もう少し絞って欲しいなぁ」

侑「みんな、聞けるのは今だけよ。気になる事は聞いときなさい」

四「はいはい!えっと、料理はどっちがいつも作ってるんですか?」

フ「日によって違うねぇ。基本、早く仕事が終わった方が作ってるかなぁ。他の家事も、協力し合ってやってるよ」

レ「……ほっ」

黒「良かったな。まともな回答で」

さ「次、良いですか?学校外ではお互いなんて呼び合ってるんですか?」

フ「ダーリンとハニー」

小「そうなんですか。ファイ先生は分かるけど、レン先生も……」

レ「誤解しないで小狼君!ちょっと!小狼君なんかは本気にしちゃうんだから、やめて下さい!」

小「え?違うんですか?」

フ「ごめんごめん。オレはファイって呼ばれてるよー。オレは、レンレンって呼んだりレンって呼んだり」

ラ「だよな」

ソ「びっくりしたぁ」

ひ「次、わたし良いですか?一緒に暮らしていて不便な事はありますか」

フ「喧嘩した時かなぁ」

百「へぇ。お二人でも喧嘩するんですか?」

黒「しょっちゅうだぞ。こいつらの場合」

フ「主に怒るのはレンレン先生なんだけどねー。オレがDVDの録画をし忘れたとか、レンレン先生のアイスを勝手に食べちゃったとか」

黒「くだらねぇ理由ばかりだよな。で、部屋を追い出されて俺の部屋に上がり込む……と」

フ「レンレン先生の機嫌が直るまでは、黒たん先生の部屋で生活するんだー」

ひ「それは確かに、不便ですね」

レ「うぅ……もうこのくらいでいいよね!?」

侑「そうね。時間もないし、次の質問よ。『過去の恋愛歴はどんな感じですか?』」

フ「あははー。ノーコメントー」

龍「ファイ先生、女性関係には不便しないでしょう?」

レ「来るもの拒まず、去るもの追わず。だったらしいよ」

黒「俺はいろいろ知ってるが、いったい何人の女を泣かせてきた事か」

さ「なんか、意外です。ファイ先生、レン先生一筋って感じなのに」

フ「それは過去。今は運命の人に出逢って、こんなに一途になったんだからー。いいでしょ?」

レ「確かに浮気とかはないみたいだけど」

フ「ね?運命は人を変えるんだよー」

黒「まあ、そういう事にしとくか」

侑「やっぱり、人の色恋沙汰は楽しいわねー。でも、次の話題よ。『どうして化学の教師になろうと思ったんですか?』」

フ「純粋に、化学が好きだったからなぁ。大学でも化学を専攻してたし」

ユ「でも、日本でなくても教師にはなれただろう?日本語を勉強してまで、なんでまた日本に」

フ「えー。日本に運命を感じたからとか?」

ソ「レン先生が日本にいたからかな!すごいねー」

レ「いや、私その時まだ日本に着てないから」

侑「それでも、運命に導かれて出逢った二人。素敵ねー」

フ「いやぁ」

レ「あー、もう。恥ずかしすぎる……」

侑「ふふ。じゃあ次。『学生時代の得意科目はなんですか?』」

フ「もちろん化学でーす。理系科目ならだいたい得意だったよー」

侑「『給料はいくらですか?』」

フ「ゆーこ先生より下ー」

侑「それは黒鋼先生が言ったから、別の言い回しにしなさい」

フ「じゃあー、レンレン先生よりは上かなぁ」

レ「そうじゃなかったらちょっとショックですよ」

侑「男たるもの、稼ぎは女より上でないとねー。これが最後よ。『授業を受けるとしたら誰の授業を受けたいですか?』」

フ「オレが生徒ならー、やっぱりレンレン先生の授業かなぁ」

レ「え?でもファイ先生、音感はあるけど楽器は弾けないし、音痴じゃないですか」

四「音痴なんだ」

龍「また、意外だな」

フ「やー、そんな事よりー、教師と生徒ってなんか良いじゃん?」

黒「……はぁ」

フ「何その溜息ー」

黒「いいや。何でもねぇよ」

侑「これで終わりよ。じゃあファイ先生、最後に一言」

フ「はーい。みんな、たくさんの質問ありがとー。他にも何か質問があったら、いつでも化学準備室においでねー。待ってるよー」



──レン先生編──

侑「次はレン先生」

レ「きたぁ……!」

侑「そんなに構えなくて大丈夫よ。簡単な質問ばかりだから」

レ「本当ですか?」

侑「ええ。まずはこれよ。『元彼とかはいますか?』」

レ「ぜんっぜん簡単じゃないですから!」

百「いきなりプライベートの深いところに踏み込まれましたね」

ひ「でも、レン先生の恋の話、気になります」

龍「レン先生も、恋多き人じゃないんですか?」

レ「そうでもないの。私、ファイ先生以外じゃ一人しか付き合った事ないから」

四「そうなんすか?」

レ「うん」

さ「その人って、どんな人なんですか?」

レ「学生時代の同級生。今はプロのピアニストしてるみたい」

小「プロですか!すごいですね」

ソ「レン先生と同じで、音楽が好きなんだぁ」

ラ「でも、ファイ先生の前でこんなに話していいのか?」

フ「あ、オレだいたい知ってるしー。でも、別れた理由とかは聞いた事ないかなぁ」

レ「ありがちな理由ですよ。すれ違いが始まって、自然にさよならって。私が日本に着て、離ればなれになったからっていうのもあるかも」

ユ「今更だけど、レン先生はどこの人なんですか?」

レ「アメリカ。元彼もです」

ユ「……そっか」

レ「てか、なんか怖い!聞かれたら聞かれるだけ喋っちゃう自分が怖い!」

侑「そうねー。じゃあ、次に行きましょうか。『いつからファイ先生と付き合ってるんですか?』」

小「そういえば、転校してきたからおれも知らないです」

四「最初からいるおれ達ですら知らねっすもん。いつからなんですか?」

レ「えっとね、私が堀鐔学園に配属された就任式の日だったかな。だから、さくらちゃん達が入学した日よ」

フ「その前から、微妙な関係だったんだけどねー」

龍「というと、知り合ったのは?」

レ「私が日本に着て、堀鐔学園の下見に来た日だから、入学式の1ヶ月くらい前かな」

侑「その時の話も、今度詳しく聞こうかしらねー。といっても、あたしは知ってるんだけど」

レ「えっ!?侑子先生、本当に何者ですか!?」

侑「ふふ。ただの理事長兼古典教師よ」

黒「ぜってぇ嘘だ」

百「みんな盗聴器でも仕込まれてそうですね」

侑「それは、ひ・み・つ。次に行くわよ。『家族構成を教えて下さい』」

レ「両親と、お兄ちゃんが二人と、妹が一人。でも、両親とお兄ちゃんの一人は、私が小さい時に亡くなったから」

さ「そう、だったんですか……」

レ「私が小さすぎたから、その時の事はあまり覚えてないんだけどね。でも、良い夫婦のところの養子になったから、そっちも本当の家族みたいに思ってます」

侑「そうそう。レン先生のお義母さんとあたしが友達なのよね。その人はセレーネっていうんだけど、そこを通じてレン先生には日本で教師になってもらったの」

小「そういう繋がりだったんですね」

ユ「レン先生の妹さんは、今どこに?」

レ「たぶん、アメリカにいると思います。でも、どうしてですか?」

ユ「いや……やっぱり似てるのかな」

レ「全然。正反対ですよ」

ユ「……そうですか」

レ「?」

侑「その妹さんなんだけどねー……うふふ、やっぱり何でもないわ」

レ「??」

侑「次ね。『教師じゃなかったら、何になっていたと思いますか?』」

レ「たぶん、歌手の仕事を続けてたと思います」

四「へぇ!歌手……ん!?」

レ「だから、歌手」

小「えっ!?」
さ「え!?」
四「えーっ!?」
黒「あぁ!?」
フ「えぇー!?」
ユ「えぇ!?」
ソ「えー!?」
ラ「えー!?」

レ「そ、そんなに驚く事かな……?」

フ「驚くよー。オレも知らなかったし」

レ「だって、言ってないですもん」

百「歌手だったんですか」

ひ「すごいですね」

レ「でも、顔は出してなかったから。私が歌手をやってたって一部しか知らないと思う」

龍「どうして教師に転向されたんですか?」

レ「音楽の楽しさを、誰かに教えたくなったからかな。そこに侑子先生からお誘いがあったから」

フ「なるほどー。でも、少し複雑だなぁ。絶対有名だったでしょ?」

レ「顔は出してないし、音楽番組にも出てなかったから、そうでもないですよ。でも、こんな私でもファンはいてくれてました」

侑「いつか校内放送で、レン先生の歌でも流しましょうか」

ソ「さんせーい!」

ラ「ききたーい!」

レ「えっ!?相当恥ずかしいんですけど……」

侑「いいの。決まりね」

レ「うう……」

侑「じゃあ次に移るわよ。『学生時代の得意科目はなんですか?』」

レ「自分で言うのもなんだけど、音楽はやっぱりずば抜けて良かったです。高等部は音楽科、大学も音大の声楽科で、教員免許も同時に取ってたし」

黒「音大か。全然イメージがわかねぇ」

レ「黒鋼先生とは無縁っぽいですもんね」

ユ「他は?」

レ「あとは、勉強も運動も、全部妹の方が上だったから。得意って感じた事はなかったです」

ユ「……」

侑「次。『給料はいくらですか?』」

レ「えーっと……黒鋼先生より少ないはず」

黒「つか、普通に歌手してた方が稼ぎは良かったんじゃねぇか?」

レ「まぁ、ね。それでも、教師にはなりたかったから」

侑「これで最後。『授業を受けるとしたら誰の授業を受けたいですか?』」

レ「侑子先生の古典を受けてみたいです。てか、どんな授業をしてるか見てみたい」

黒「理事長がまともに授業してるとこなんて、想像つかねぇな」

侑「あら。あたしはいつも本気よ」

小「はい。侑子先生の授業、とても分かりやすいです」

侑「ほら」

黒「どうだかな」

侑「じゃあレン先生。一言お願い」

レ「はい。たくさんの質問、有り難うございます!私の事、たくさん知っていただけたら嬉しいです!」



──ユゥイ先生編──

侑「残る質問もあと少しね。ユゥイ先生、準備は良いかしら?」

ユ「どうぞ」

侑「『今付き合っている人はいますか?』」

レ「ずっと思ってたんだけど、何で一番深い部分を最初からストレートに突くんですか」

黒「普通、恋愛がらみは徐々に徐々に聞き出す、って感じだろ」

侑「良いのよ。一番気になる事は、一番最初に聞かなきゃ。で?ユゥイ先生。どうなの?」

ユ「いませんよ」

四「でも、イタリアンシェフってすごいモテそうなイメージがあるんですけど」

ひ「外人さんって、日本でもすごく人気あるしね」

レ「そうそう。紳士的で、女性の事を大切にしてくれそうなのに。本当にいないんですか?」

ユ「ええ」

ソ「気になる人は?」

ユ「そうだね……一応、いる事になるのかな」

ラ「好きな人はいるんだぁ」

フ「……」

さ「どんな人なんですか?」

ユ「笑顔がとても素敵な人だよ。でも、想いが通じる事はないと思う」

百「片思いですか」

四「ユゥイ先生に落ちないなんて、どんな人なのか見てみたいですね!」

フ「……」

龍「複雑ですねぇ、双子って」

小「兄さん、何か言った?」

龍「いや。何でもない」

侑「でもね、ユゥイ先生。運命ってどう転ぶか分からないものよ」

ユ「え?」

侑「うふふ。次、行きましょうか。『ファイ先生の事をお兄さんだなーと思う時はありますか?』」

黒「ないんじゃねぇか。まず、兄と弟の性格が普通は真逆だろ」

フ「黒たん先生ひどいー!」

レ「確かに、ユゥイ先生は落ち着いてますもんね」

フ「レンレン先生までー……」

ユ「でも、ファイは結構良い兄さんだと思うよ。小さい頃から、双子なだけあって良く好みが似てたんだけど、オモチャとかお菓子とかいつもボクに譲ってくれてた気がする」

レ「へぇー。意外とちゃんとお兄ちゃんしてたんですね」

フ「なんていうか、モノにあまり執着心がなかっただけなんだけどねー。でも、今はもう譲れないモノが出来たから」

レ「?」

ユ「……侑子先生。次、お願いします」

侑「はいはい。『シェフの仕事と教師の仕事、どっちが楽しいですか?』」

ユ「どっちもそれぞれにしかない、やりがいがある仕事だから、一概にどっちとは言えないかな」

ひ「シェフの仕事は、どんな時が楽しいんですか?」

ユ「自分が作ったものをお客さんに提供して、それを美味しいって笑ってくれる時かな」

さ「教師のお仕事では?」

ユ「料理の楽しさを、子供達に伝えられる事。オレの授業を通して、料理が楽しいって思ってもらえたら、それ以上の事はないよ」

侑「『学生時代の得意科目はなんですか?』」

ユ「基本的に手先は器用な方だったから、家庭科以外にも美術なんかも得意でした。あとは音楽も」

小「そうか。ユゥイ先生、ピアノが弾けるんでしたよね」

ユ「弾けるっていっても、小さい時に少し習ってたくらいだけどね」

レ「でも、私も何回か聴かせてもらいましたけど、すごくお上手でした!」

ユ「有り難う。音楽の先生に褒められると、少しくすぐったいですね」

侑「『給料はいくらですか?』」

ユ「教師としてはなりたてだし、でも年齢はファイと同じだから、レン先生と給料はあまり変わらないと思うよ」

レ「そうなんですか?」

ユ「たぶん、ね。シェフをしてた時の方が、給料は良かったかな。教師の方が、安定はしてるけどね」

侑「ここまで話を聞いたら、先生達全員の給料を比べられるわねー」

龍「でもそういうのって、教師としての経験だけじゃなくて、年齢にも関わってきますよね」

侑「そうね。教師歴の順でいくと……あたし、ファイ先生、黒鋼先生、レン先生、ユゥイ先生、ってとこかしら」

百「ファイ先生、意外と教師歴長いんですね」

フ「そうだよー。年齢もこの中では上の方だしー」

四「そうなんですか!?黒鋼先生より年下だと思ってた……」

フ「ひどいなぁ。ちなみに、オレ26歳ー」

ユ「ボクもだね」

百「黒鋼先生は?」

黒「俺ぁ25だ。年下っつっても、あんま変わらねぇだろ」

フ「黒りん先生、老け顔だしねー」

黒「何だと童顔やろう……!」

ソ「レン先生は?」

レ「私は24歳」

小「侑子先生は?」

侑「小狼君。年齢はね、男が女に聞いちゃいけない事の一つなのよ。気をつけなさい」

小「あっ、はい!すみません!」

黒「その年にもなると言えねぇか……」

侑「何か言った?」

黒「いーや。別に」

四「たぶん、最年長なんだろうな……」

侑「四月一日。余計な推測はいらないわよ」

四「はっ!はいっ!」

レ「怖……」

侑「話が逸れちゃったじゃない。最後の質問ね。『授業を受けるとしたら誰の授業を受けたいですか?』」

ユ「ファイの授業を受けてみたいかな。実験って楽しそうだし」

フ「やー、なんか照れるなー」

侑「じゃあユゥイ先生。一言どうぞ」

ユ「はい。こんなにたくさん、質問有り難う。堀鐔学園にはまだ来たばかりだけど、これをきっかけにボクの事を知ってくれたら嬉しいな」



──侑子先生編──

侑「さあ!最後はこのあたし!理事長兼古典教師の、壱原侑子先生よー!」

ラ「わぁい!」

ソ「ゆーこせんせーい!」

侑「って事で。自分で読んで自分で答えても面白くないから、小狼君が読んでちょうだい」

小「分かりました」

侑「はい。じゃあ、よろしくね」

小「えっと。『理事長をやっていて大変な事ってありますか?』」

侑「ないわ」

さ「えっ!そうなんですか?」

侑「学校の規則は自由に作れるし、全ての運営が出来るし。楽しいもの」

四「いやぁ、それにしたって他に何かあるっしょ」

侑「そうねー。強いて言うなら……色んな書類に目を通すのは面倒ね」

百「そんなものなんですか。理事長の仕事って」

侑「そんなものよ」

黒「それでどうして、俺達より給料が上なんだ……」

ユ「理事長っていう地位は大きいんだよ」

侑「そういう事よ。さあ、次に行きましょ」

小「はい。『誰を弄るのが一番楽しいですか?』」

レ「うっわ。すごい質問」

フ「だいたい、答えは見当がつくんですけどー。誰なんですかー?」

侑「決まってるじゃない。四月一日と黒鋼先生よー!」

龍「やっぱり」

黒「だいたい何で俺達なんだよ!」

四「そうっすよ!」

侑「だって、返ってくる反応が面白いんだものー」

黒「なんだそりゃあ!」
四「なんですかそれ!」

ひ「本当。息ぴったりですね」

黒「いや、九軒。そんな笑顔で納得するな」

侑「そういう訳で、次」

小「『学生時代の得意科目はなんですか?』」

侑「あたしに苦手科目があると思う?」

小「あっ。いやっ。いえ……」

侑「理系文系、さらには体育系から教養系まで、共に大得意よ」

レ「その中でも何で古典の道に進んだんですか?」

侑「気分よ」

百「その一言で教師になれるんですか」

黒「古典教師目指してる奴が聞いたら泣くぞ」

侑「うふふ。次」

小「『給料はいくらですか?』」

侑「これは今までのでだいたい分かってるわよね。とりあえず、みんなより額は上よ」

龍「具体的に、どのくらいなんですか?」

侑「さすがにそこまでは言えないわねぇ。企業秘密よ。知りたかったら、理事長の職を目指してみなさい。次」

小「はい。これが最後です。『授業を受けるとしたら誰の授業を受けたいですか?』」

侑「そうねー。黒鋼先生かしら」

ひ「体育って事ですか?」

侑「ええ。あたしの弾丸スマッシュを、黒鋼先生にガツーンと……」

黒「もう少し普通に参加出来ねぇのかよ!」

侑「普通じゃない」

黒「教師を攻撃してくるような生徒はいらねぇ!」

侑「もー、黒鋼先生ったら怒鳴り過ぎよー。そんなんじゃ、いつか血管がぷっつり切れちゃうわよ」

黒「よけいなお世話だ!」

侑「小狼君、さっきで終わりだったわね?」

小「あ、はい」

侑「了解。みんな、質問ありがと。まだ気になる事があるなら、堀鐔学園にいらっしゃーい。黒鋼先生が答えてくれるから」

黒「って、俺かよ!」

レ「やっぱり、弄られてますね」

フ「だねぇ」





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