久々に万事屋に忍び込むと、なにやら見知らぬ顔がいる。
万事屋周辺にて聞き込みをすると、意外な情報。

「ああ、あの銀狐?なんかつい最近から出入りしてるみたいだ」
「なんでも万事屋に嫁入りするんだと」
「嫁入り…?」
「国じゃ大層身分も高いだろうに。変わった銀狐だなあ」

情報を手に万事屋に乗り込むと、件の銀狐。

「客か?すまんが今銀時たちは仕事に…」
「あなた、銀さんのなに!」
「え?伊織は銀時の嫁だが」

その言葉を聞いた途端、奇声をあげる。
自称、嫁こと伊織は顔を歪めた。

「貴女の名を聞こう」
「猿飛あやめ…さっちゃんと呼びなさい…」
「うむ。さっちゃん、貴女は銀時の知り合いだろうか?」
「私も銀さんのお嫁さん」

さっちゃんの返答に、伊織は目を剥く。
とんでもない答えが帰ってきた。

「う、嘘だ」
「嘘じゃないわ!もうあんなことやこんなこともしたんだから」

顔を赤らめて言うと、伊織は首を傾げた。

「あんなことやこんなこと?」
「そう!あんなことやこんな…って、あなた意味わかってる?」
「心当たりがない」

一部知識の欠落が著しい伊織に、さっちゃんは眩暈を覚えた。
嫁とは名ばかりか。

「愛情表現っていうの?それよ」
「む、だったら伊織だって!抱き付いておるし、一緒に寝ておるし!」
「そういうんじゃないわよ」

流石のさっちゃんも、狐相手に四苦八苦している。
伊織はむむむと眉を寄せた。

「一緒に寝てるって、寝るだけ?」
「寝るだけとは?酒を飲んだあとはちょうど酒臭い故、自分の布団も敷くな」
「普段一枚で寝てるの」
「嫁じゃからな!」

仁王立ちして胸を張る伊織。
この狐、なにがなんだかわかっているのか。

「てことはぁ?キスとかしたことないんだ〜まだまだね」
「キスってなんだ」
「そこからなの」

からかうにも無知すぎてからかえない。
そして逆に好奇心を植え付けてしまったらしい。


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